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キリンビールの2022年事業方針、ビールで前年比3割増の販売を目指す

代表取締役社長の堀口英樹氏(左)と常務執行役員マーケティング部長の山形光晴氏(右)

 キリンビールは1月6日、2022年の事業方針を説明する会見を開き、代表取締役社長の堀口英樹氏がブランドと人材の強化に注力する方向性を示した。

 堀口氏は、冒頭で2021年を振り返り、「外部環境の変化が大きく、お客さまの需要についても大変大きく変化してきた」とした上で、フラッグシップブランドの「一番搾り」を軸に、健康志向の高まりに対応する形で「一番搾り 糖質ゼロ」を育成するとともに、より良いものを求める需要に対し、クラフトビールの「SPRING VALLEY 豊潤<496>」を発売してきた実績をアピール。

 2021年の販売実績としては、ビール類の市場全体が前年比で-5%程度とされる中において、同社は-4.1%で着地。狭義のビールについては、酒税改正の追い風もあったが、市場全体が-1%程度とされる一方、同社は4%増と好成績を残しており、堀口氏は「6年ぶりのプラスのチャンスで、ビール回帰の流れをしっかりと捉えることができた」との認識を示した。

 とはいえ、ビール類の市場は17年連続で減少している状況にあるため、市場の活性化が業界としての課題とされる。堀口氏は、2022年の方向性について、概ね2021年を踏襲しながら、「一番搾り」「一番搾り 糖質ゼロ」「SPRING VALLEY 豊潤<496>」の拡販、会員制ビールサービスの「ホームタップ」、業務向けの「タップ・マルシェ」「タッピー」などにより、ビール類の魅力アップに取り組んでいくとする。狭義のビールの販売数量の目標は、前年比で約3割増を掲げている。

2021年の販売実績
2022年の販売目標

 堀口氏は、新ジャンルの「本麒麟」について、「ビール回帰のあおりも受け、非常に苦しい1年だった」と振り返りながらも、「酒税改正から丸1年が経ち、回復傾向にある。消費者には根強い節約志向もあり、これからも品質の高い新ジャンル商品への期待は高まる」との見通しを示し、これをさらに進化させ、リニューアルすることで、前年比約1割増の再成長を目指すとしている。

「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、2021年12月製造品から順次、中味とパッケージがリニューアルされる。中味については、新たに日本産ホップの「IBUKI」を使用。味わいと香りのバランスを高めるとともに、飲み飽きないおいしさを追求したという。

「本麒麟」も1月製造品からリニューアル。ドイツ産ヘルスブルッカーホップを増量し、2つの仕込窯を用いて異なる温度で煮込み、麦のコクやまろやかな味わいを引き出す「デコクション製法」を採用することで、飲みやすさが追求されている。

 ビール類以外では、「麒麟 発酵レモンサワー」シリーズも1月製造品から順次リニューアルする。レモン果汁を発酵させる酵母を見直すことで、香気成分の量を約15%増加させ、香料や酸味料、甘味料を加えずにレモンの風味を引き出している。今回のリニューアルに伴い、「麒麟 発酵レモンサワー 濃いレモン」は「麒麟 発酵レモンサワー ALC.5%」に商品名が変更となる。

 会員制生ビールサービスの「ホームタップ」では、外部のクラフトビールブルワリーの参画受入をスタート。第1弾として、ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」の取り扱いを期間限定で開始する。受注開始は1月11日、配送開始は2月3日となる。

 このほか、適正飲酒を呼びかける活動の一環として、5月から各商品に含まれる純アルコール量とともに、適正飲酒に関するWebサイトにつながる短縮URLをパッケージに表示する取り組みも開始される予定。