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乃が美、“焦がし”に挑戦した新商品「黒山乃が美」7月1日発売

復刻「生」食パン改め「創業乃が美」と2ライン展開

2022年7月1日 発売

黒山乃が美

 高級生食パン専門店「乃が美」を運営する乃が美ホールディングスは、“焦がし”の技術を使った「黒山乃が美(くろやまのがみ)」を7月1日から順次発売すると発表した。価格は、レギュラー(2斤)が972円、ハーフ(1斤)が486円。

 同社では、創業当時の“黄金比率”に配合を戻しつつ、創業から9年間かけて培われた技術で最高の生食パンを目指して新開発した復刻「生」食パンを4月末から期間限定で販売してきたが、店舗運営課 課長の福田圭市氏によれば、発売から1か月で100万本を販売するほど売れ行きが好調だったため、同商品を7月1日から「創業乃が美」という名称に変更し、基幹商品として継続販売していくことにした。

 同氏は、復刻「生」食パンの発表時に“幻の食パン”を今夏発売すると予告していたが、今回の「黒山乃が美」がそれに相当する。7月1日以降は、これら2商品が軸になっていく。

店舗運営課 課長の福田圭市氏

 従来の同社の看板商品となる生食パンは、食パンにおいてタブーとされる腰折れギリギリの柔らかさに挑戦し、耳までおいしいと評されてきたが、黒山乃が美では、新たな挑戦として、もう1つの食パンのタブーである焦がしにチャレンジしている。

 福田氏は、「通常は食パンを焦がすという発想はなかった。焦がさないようにコントロールするのが業界の考え方」とする一方、ご飯やもんじゃ焼き、玉ねぎなど、単なる焦がしではなく、人が旨いと感じる“おこげ”も存在するとして、試行錯誤を重ねながら独自の「おこげ製法」を確立したと語る。

「黒山乃が美」への執念

 同氏によれば、「偶然できる焦げではなく、意図した焦がし」で、単純に長時間焼くと旨味が飛んでパサパサになるため、繊細な火加減が必要になるという。焼き上げる窯の状態やその日の天気によって環境が変化するため、マニュアル化することは難しく、職人の腕に頼りながら、1か所の工房につき15回の試作を繰り返して焼き上がりの品質を揃えたという。

 原料の配合についても創業乃が美とは変えており、その日の気温や室温、湿度などにあわせ、生地に練り込む水の量を調節したり、発酵時間などを調整。さらに、上火や下火を細かく調節することで、生地の中の旨みのある水分を閉じ込め、もっちりとした食感を残している。

 同社では、食べた瞬間には「おこげのような香ばしさ」、口に入ると「もっちりとした甘味」、食べ終わりには「味わい深いコクと余韻」と、ひと口で3つの味わいが楽しめるとしている。創業乃が美同様に、生のまま手でちぎって食べてもおいしく、甘いジャムのほか、塩味や酸味のある食材とも相性が抜群とのこと。

 これまで同社は1種類の生食パンのみを販売することで職人が腕を磨き続けられる環境を整えてきたが、今後は2つの商品を作り分けていくことになる。1つの窯で同時に2種類のパンを焼き上げることはできず、作業効率の面での難しさも出てくるが、現場にとっては、そこも新たな挑戦となる。

「sio」鳥羽周作氏とともに新たな食べ方を提案

フレンチレストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作氏

 6月21日に都内で開催された発表会には、フレンチレストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作氏も登場。黒山乃が美に付随する商品開発やレシピ監修など、同氏に力を借りながら、新たな食パンの可能性を探っていく。

 鳥羽氏は、黒山乃が美について、「まわりを香ばしく焼きながらも、中をしっとり仕上げている。肉に例えるなら、焼肉じゃなくてローストビーフ。レストランクオリティで、今までになかった食パン」と絶賛。「既存の創業乃が美がありながらも新しいものに挑戦していくスタンスに共感した」としている。

 同氏は、新たな食べ方として、黒山乃が美を1.5cmほどに切ってマヨネーズをつけて食べることを提案。今後もさまざまなアレンジを提案していくという。

田原俊彦と宇賀なつみも絶賛

田原俊彦(右)と宇賀なつみ(左)

 さらに発表会には、タレントの田原俊彦と宇賀なつみが登場。6月21日は田原が「哀愁でいと」でデビューした記念日で、宇賀なつみは前日の20日が誕生日ということで、互いにお祝いムードで軽快なトークを展開した。

 週に2~3回は乃が美のパンを食べるという田原は、黒山乃が美を試食し、「創業乃が美より少し重い」と微妙な変化を感じとりながら、「(中は)変わらずもちもちしている」と説明。宇賀も「焦がしの部分の酸味や塩味がきいている。おこげに旨みがある」と黒山乃が美を味わっていた。