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くら寿司、回転レーンの寿司カバーへのいたずらを検知する「新AIカメラシステム」を全店舗に導入

2023年3月2日 発表

レーン上部に設置されているカメラ

 くら寿司は3月2日、回転レーン上での寿司カバーの異常を検知する「新AIカメラシステム」の導入を発表した。同日から全店舗で運用をスタートする。

 回転寿司をめぐっては、回転レーンへの悪質ないたずらが問題となり、不安を感じる消費者が多くなっている。同店では、従来より回転レーンを流れる皿のすべてに「寿司カバー」を導入するなど、衛生面での配慮を行なってきた。

 この寿司カバーの上面にはQRコードが貼り付けられており、レーン上部に設置されたカメラでこれを読み取ってカバーの開閉を検知し、どのテーブルの客が皿を取ったかを把握し、料金精算に活用されていた。

QRコードが貼り付けられた抗菌寿司カバー

 しかし、皿を戻すことができる構造となっているため、悪意があれば皿を戻すなどの迷惑行為を行なうことも可能で、これをいかに防ぐかが課題となっていた。

 今回導入が発表された新AIカメラシステムは、寿司カバーの不審な開閉を検知し、本部でアラートが鳴るようになっている。本部側の担当者は、以前から導入されている店舗遠隔支援システムの監視カメラで状況を確認し、店舗側の責任者に電話で連絡する流れとなる。

 店舗側では、異常を検知した皿を撤去するとともに、必要に応じて利用者に声をかけ、場合によっては警察への通報も行なう。

寿司カバーに皿を戻すと本部側のタブレットに通知される
新AIカメラシステムのデモ

 2日に都内の店舗で開催された発表会では、取締役 広報・マーケティング本部長の岡本浩之氏が新システム導入の背景や狙いを紹介した。

取締役 広報・マーケティング本部長の岡本浩之氏

 同氏は、「1月ごろより回転寿司業界をはじめ、さまざまな飲食店で悪質な迷惑行為が横行している。その結果、飲食店の利用に不安を感じるお客さまが増えてしまう結果となり、外食産業全体の危機ともいえる状況となっている」と指摘。

 その上で、回転寿司を存続させるには、「さまざまなメニューが流れて目で追いかけるワクワク感、すぐに取って食べられる手軽さ、商品を選ぶ楽しさの3要素」を維持していくが重要だと語った。

 コロナ禍で回転レーンでの商品の提供を取りやめる店舗もあるなか、同社としては回転寿司が持つエンターテインメント性をいかに保っていくかに真剣に向き合い、テクノロジーを組み合わせて改良を重ねてきた。

 同氏によれば、今回のシステムは、すでに導入されているカメラなどを活用し、ソフトウェアを改良することで実現しており、騒ぎが起きてから1か月ほどと、スピード感を持って対応できたという。

 監視カメラを用いた店舗遠隔支援システムについては、元々は座席が埋まっているにも関わらず、レーンを流れる寿司が少ないといった営業面での指摘を行なうために導入したものだが、不審な動きを映像として記録・確認できることから、今回のシステムのオペレーションのフローに組み込まれることになった。

 本部側には約20名のスタッフが配属され、常時6~7人の体制で監視を行なっており、今回の施策のために増員をかけてはいないとのこと。

 同氏は「日本が生んだ回転寿司というシステムは世界に通用するもの。世界、そして未来につなげていくためにもレーン上に寿司を流し続けていきたい。今後もさまざまなイノベーションに取り組んでいきたい」としている。