突撃!グルメ探検隊

くら寿司で人気の「ビッくらポン!」、投入口に入れた皿の行方の秘密

くら寿司のテーブルにあるお皿の投入口

 回転寿司の「くら寿司」では、食べ終わった皿をレーン下の投入口に入れると5皿で1回景品が当たる「ビッくらポン!」が子どもたちに大人気だ。しかし、あの投入口に入れた皿は、その後どうなっているのだろう?

 同社 テクノロジー開発部 マネージャーの橋本大介氏にその秘密を伺った。

2つの課題のクリアを目指して開発した「水回収システム」

ビッくらポン!

 同氏によれば、「ビッくらポン!」が導入されたのは2000年のこと。皿を回収するシステム自体は1996年に導入されており、これを楽しく活用してもらうために考案されたのが「ビッくらポン!」ということになる。

 皿を回収する仕組みは「水回収システム」と呼ばれており、その名の通り、レーンの下に水を流すことで皿を回収する仕掛けだ。当初は壁に穴を空けてベルトコンベアで回収するような装置も作ったが、穴まで皿を運ぶ手間があったため、水を使う方法に行き着いたという。

レーンの下には水路が隠れていた

 そもそも、なぜこんな仕組みを考えたのか。

 他社では店員が各テーブルを回って下膳用のボックスなどを使って皿を回収している。ファミリー層の獲得を目指してボックス席を作り、店舗が大型化するに伴い、店内での移動距離が長くなり、いかに効率的に皿を回収するかが課題になった。

 また、食べ終わった皿を積み上げるというスタイルは、大食い自慢のフードファイターにとっては勲章となり得るが、これを恥ずかしいと感じる利用者も女性を中心に少なくなく、テーブルの上に皿を貯めない方法を模索していたという。

皿が積み上がっていることを恥ずかしいと感じる人にも配慮

 回転寿司の皿は、長時間放置すると、食べ残したシャリがこびりついたり、醤油のシミが残ったりするが、水を使ったことで、こうした問題も同時に解決。順次、皿を回収できることから、各店舗での皿のストック数を大きく減らすことも可能になり、店員も接客などの他の作業に時間をかけられるようになり、結果的に一石二鳥、一石三鳥とメリットを生み出した。

店内洪水トラブルとの戦いの歴史

くら寿司 テクノロジー開発部 マネージャーの橋本大介氏

 ただ、導入後はトラブルもあった。皿が詰まって水が溢れることもあり、その都度対策を検討し、傾斜や形状、水流など、さまざまな点で改良を重ねてきた。その結果、今ではこうしたトラブルはほとんど起きないようになったという。橋本氏は、「トラブルと戦ってきた20年のノウハウがあり、他社も簡単にはマネできないはず」と胸を張る。

 よく見ると分かるが、投入口は専用の鍵で小窓を開けられるようになっている。店舗の利用者には基本的に皿だけを投入してもらう仕組みだが、店員がテーブルを片付ける際には、この小窓に湯呑みなど投入することで下膳する手間を省けるようになっており、スピーディーに片付けられるようにすることで回転率の向上にも繋がっている。

投入口は専用の鍵で小窓を開けられ、店員が皿よりも大きな湯呑みなどを投入して片付けられる構造になっている

こぼれ話

 橋本氏によれば、5皿で1回という「ビッくらポン!」のルールの影響か、5の倍数で席を離れる利用者が圧倒的に多いのだとか。「ビッくらポン!」に挑戦したい子どもが強引に親に食べさせる被害(?)もあるようだが、橋本氏は「今後は大人向けも考えている」と話しており、くれぐれも食べすぎにはご注意を。

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