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ヤッホーブルーイング、2023年事業戦略発表。日ハム新球場にクラフトビール醸造レストラン開業予定

2023年3月2日 開催

ヤッホーブルーイング株式会社 代表取締役社長 井手直行(てんちょ)氏

 ヤッホーブルーイングは3月2日、事業戦略発表会を開催した。長野県軽井沢町で1997年に創業し、「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに掲げる同社は、「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」などを多様で個性的なクラフトビールを常時10種類以上販売している。

2022年振り返り

 代表取締役社長の井手直行(てんちょ)氏によると、「ただのビール製造会社ではなく、ビールを中心としたエンターテインメント事業も展開し、2022年はクラフトビール市場の急拡大と文化の定着を戦略に立てた」という。主な新商品に10年ぶり全国レギュラー製品「裏通りのドンダバダ」や、アルコール度数0.7%と低アルコールのクラフトビール「正気のサタン」があり、ヒットした。

裏通りのドンダバダ
正気のサタン

 また、10年ごと20年後に発売されるビール「約束のよなよなエール」も全国で約6000名が体験。オンラインイベント「よなよな つきの道楽座」を1年で計24回実施し、延べ約700名を動員した。オンラインイベントは「ビールのことが知れて楽しかった」との感想があったという。各種活動について、「精神的にも健康的にもウェルビーイングだと評価されることが増えてきた」と井手氏は語る。

プロモーションやオンラインイベントを実施

 なお、2022年10月には原材料高騰に伴い創業以来初となる、ほぼ全商品の値上げを行なった。2021年は「美味しいクラフトビールを自宅で楽しみたい」とのコロナ禍の巣ごもり需要があったが、一旦落ち着き売り上げは昨対比で微減した(2021年12月~2022年11月実績)。

 とはいえ、20年で約20倍の売り上げまでに成長し、コロナ前の2019年比で約30%増、主要チャネルでは約50%増なことを井手氏は強調した。

近年のビール市場動向と2023年の方針

 クラフトビールの販売量はコロナ前と比較して伸長し、購入者属性を見ると、大手ビール類に比べて若年層に受け入れられていることが分かる。「クラフトビールは30台を中心とした若年層の獲得が重要」と井手氏は述べ、子育て世代の隠れ節目を祝う新サービス「隠れ節目祝い by よなよなエール」を発表(関連記事「人生の隠れた節目を『よなよなエール』でお祝い。計5100名に卒○証書とセットでプレゼント」)。

近年のビール市場動向

 そのほか、20~40代の若年層や女性の購入比率が高い「正気のサタン」を2023年度内にセブン-イレブン販売エリアを全国に拡大し、関西・甲信エリアから拡大予定としている(時期未定)。その後、全国全業態へも順次展開していくという。

「正気のサタン」全国発売

 2023年の戦略は、「北海道(特に札幌圏)、長野県(特に軽井沢)、首都圏(特に東京)、関西(特に大阪)の注力エリアで、クラフトビール市場の拡大、文化の定着を目指す」としている。

 なぜ全国エリアではないのかについては、「大手ほどの製造・販売能力があるわけではないため、キーとなるエリアに絞って着手していく」と井手氏。

注力エリアでクラフトビール市場の拡大、文化の定着を目指す

 具体的には北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」のセンターバックスクリーンに、フィールドが一望できるクラフトビール醸造レストラン「そらとしば by よなよなエール」を3月30日に開業予定(プレオープンは3月14日)。

 2階建てのクラフトビール醸造レストランで、1階では併設の醸造所でオリジナルクラフトビールの醸造およびレストランスペースでクラフトビールの提供を行なう。4月以降はブルワリーツアーも実施予定という。

「そらとしば by よなよなエール」(3月30日開業予定)

 さらに、同社はエンターテインメント事業にも力を入れていることから、エンタメスポット「大阪ブルワリー」を2025年春開業に向けて建設計画を進めている。場所は、泉佐野市のりんくうタウン駅のすぐ近くの土地を選定中とのこと。

エンタメスポット「大阪ブルワリー」(2025年春開業予定)

 このほか、アフターコロナを見据えてリアルイベントを復活させてきており、2月18日は「よなよな 月の道楽座」のリアルイベントを初開催。夏には佐久醸造所(長野県佐久市)の見学ツアーを4年ぶりに再開予定としている。

アフターコロナを見据えてリアルイベントを復活

 発表会ではクラフトビール各種を試飲することができた。記者はこの後も仕事がみっちり詰まっていたため、低アルコールながらクラフトビールの味を楽しめる「正気のサタン」をチョイス。

 香りは柑橘系で爽やか。口に含むと強めの炭酸とともにチューハイのようにジューシーな果実感が広がる。これでアルコール度数1%未満とはびっくり。低アルコールにありがちな物足りない印象がなく、IPAらしい飲みごたえもしっかり感じられた。

YONA YONA BEER WORKS赤坂店で「正気のサタン」を試飲
正気のサタン
よなよなエール

※画像はヤッホーブルーイング事業戦略発表会兼隠れ節目祝い式 by よなよなエールにて