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ハーゲンダッツがおいしい理由、2023年事業方針発表会で明らかに

2023年3月9日 発表

4月発売の「SPOON CRUSH(スプーンクラッシュ)」シリーズ

 ハーゲンダッツ ジャパンは3月9日、2023年の事業方針に関する発表会を開催し、執行役員 マーケティング本部長の北川和男氏が説明を行なった。

 北川氏は、2023年のマーケティング計画について、前年から大きく方針を変えるわけではなく、引き続きブランド価値をしっかり醸成していくことに注力すると語る。昨年同様に「ハロー しあわせ。」をメインテーマに掲げつつ、「日常の幸せに寄り添、癒し、心を満たし、前向きな気持ちなれるブランドへ」という、より具体的なイメージを持って取り組むとしている。

 同氏によれば、「基幹品の活性化」「新たな価値提案」「共感の醸成」の3つを柱に、事業を展開していく。

執行役員 マーケティング本部長の北川和男氏

 基幹品については、バニラとグリーンティーを軸とし、バニラについては改めて“香り”を訴求するほか、限定商品も投入する。グリーンティーでは、“深く濃い”味わいを差別化のポイントとして訴求していく。また、クリスピーサンドについても、食感を表現した“音”にフォーカスして新規顧客の獲得を図る。

 新たな価値提案では、4月11日にミニカップの新シリーズ「SPOON CRUSH(スプーンクラッシュ)」の2品を発売する。同シリーズは“体験型”に位置付けられており、食べる楽しさを感じられる商品となる。

 フレーバーとしては、「あふれるベリー バニラ&マカデミア」と「あふれるショコラ 抹茶&クッキー」の2品がラインアップされており、それぞれ351円で販売される。

 蓋を開けるとチョコレートコーティングの層があり、これをスプーンでパリッと割ると、その下からソースがじゅわっと溢れ出すことから、“パリ・じゅわ体験”が味わえる。その下のアイスクリームの層には、それぞれマカデミアナッツやココアクッキーが隠れており、それぞれの素材が生み出す複雑な食感も楽しめるようになっており、北川氏は「見た目、感触、音、味、匂いと、5感で楽しめる商品」と表現している。

 実際に試食してみると、表面のチョコレート層は想像以上に厚みがあり、少し力を入れるとパリッと割れる。すると、割れた隙間からソースが溢れてくる。色合いもあってか、「あふれるベリー」のほうがしっかりと溢れ出ることを確認できる。冷えているうちに一気に食べてしまうのも悪くないが、少しずつ溶けていく過程も含めてじっくりと味わうことをオススメしたい。

 北川氏によると、同シリーズは日本でのみ販売される期間限定商品となり、開発に5年をかけた自信作だという。通常のミニカップ商品とは異なり、カップの蓋についても異なる形状となっており、同社としても気合いが入っていることが伝わってくる。

 このほか、新商品としては、3月14日にハーゲンダッツバーの新商品「マウンテンチョコファッジ」(319円)も発売。夏と秋冬にもミニカップ、バーともに新商品を投入する予定とのこと。

 そして、共感の醸成については、同社としては近年、幅広い“ご褒美”をテーマに商品の訴求を行なってきたが、2023年はその中でも“癒し”にフォーカスしていくという。4月下旬には現在の佐藤健に加え、新たな女性タレントを起用し、プロモーションを展開していくとしている。

 同氏はまた、品質へのこだわりをしっかりと伝えていくことも重要だと語る。

 プレーンな商品と思われがちなバニラについても、同社として、北海道の根釧地区のストレスが少ない環境で育った牛のミルクを使用したり、深く華やかな香りを生むマダガスカル産のレッドビーンズを使用したり、かなりのこだわりをもって作っている。

 ちなみに、同社のバニラは、一般的な商品と比べて空気の含有量を少なくコントロールすることで、濃厚でなめらかな味わいを実現しているという。北川氏によると、一般的なバニラアイスは空気の含有量が60~100%となっているが、同社では20~30%になっている。

同社の通常商品と特別に空気含有率50%で製造した商品との重さの比較
食べ比べてみると、通常商品の濃厚な味わいが実感できる
ミニカップのサイズでも15gほどの差が生まれる

 ストロベリーに使用するイチゴも、中まで赤い品種を求めて3年をかけ、さらにレシピ開発に3年をかけたという。このため、同社のストロベリーでは着色料を使用せず、ミルクとあわせた自然なピンク色となっている。

 グリーンティーについては、7年の開発期間を経て1996年に日本オリジナルの商品として誕生した人気商品だが、抹茶の風味が光によって損なわれる性質があるため、特別に遮光カップを採用するなど、包材にもこだわっているという。

 さらに、おいしく味わうためには温度管理も重要で、アイスが一旦溶けると、再び凍らせても氷の結晶の大きさが異なり、食感や風味が変化してしまうため、物流や店頭陳列を含め、いかに溶けない温度を保つかに心血を注いでいるとのこと。

 同社としては、こうしたさまざまなこだわりを伝えていくことで消費者の商品への理解を深めてもらい、商品価値の向上につなげたいとしている。