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サントリーが梅酒に本気! 山崎蒸溜所でウイスキーの熟成に使った古樽に5年間貯蔵した“梅酒”を試飲してみた
ウイスキー好きも満足する料理とのマリアージュ
2023年4月28日 12:30
- 2023年4月26日 実施
サントリーが2023年3月にリニューアル発売した「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」など3商品と、5月16日発売予定の「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND」。これらは山崎ブランドのウイスキーで知られる山崎蒸溜所から生まれた商品で、梅酒好きの人はもちろん、ウイスキーが好きな人にも向けた新たな価値を提案するシリーズとなっている。
甘くカジュアルな飲み口で、特に女性に人気のあるこれまでの梅酒に対し、新しい「サントリー梅酒」はより幅広い層をターゲットにした商品となるわけだが、そこにはどんなこだわりや狙いがあるのだろうか。シリーズ3商品に加え、1万5000円(税別)という破格の「EXTRA BLEND」もテイスティングできる試飲会に参加してみた。
「サントリー梅酒」シリーズ
「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」
価格: 1365円
容量・アルコール度数: 750mL・16%
「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド」
価格: 3000円
容量・アルコール度数: 750mL・17%
「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー」
価格: 5000円
容量・アルコール度数: 750mL・20%
長期熟成のブランデーやウイスキーなどをブレンドした贅沢な梅酒シリーズ
1923年設立の山崎蒸溜所でウイスキーづくりを始めてから100年となるサントリーだが、梅酒づくりの歴史も古く、2023年に60周年を迎える。最初の梅酒は1963年に製造された「ヘルメス クレーム・ド・コーバイ」で、その後2002年から「サントリー 焙煎樽貯蔵梅酒」が、2006年から「サントリー梅酒 ブランデー仕込み 熟成梅酒5年貯蔵」が、それぞれ販売されてきた。
2002年以降の同社の梅酒商品は、山崎蒸溜所において日本人の味覚に合うウイスキーづくりを目指すなか、「梅酒を貯蔵した樽で新たなウイスキー原酒を作ってみよう」という現工場長の発案が元になっている。最初はウイスキーをつくるための梅酒という位置付けだったが、それがきっかけとなって、結果的には美味しい梅酒の誕生につながったわけだ。
そんななか、今回「サントリー梅酒」がリニューアルしたのには、消費者の梅酒に対する価値変化が理由の1つにある、と同社酒巻氏。調査によれば、2022年は単価1000円以上の価格帯の瓶梅酒の伸びがとりわけ大きく、甘味や果実感の強いものより、本格感や食事との相性を重視する傾向が見られるとのこと。
こうしたことからリニューアル商品ではより本格感を意識し、「山崎蒸溜所」で貯蔵したものであることを強調。貯蔵用の樽は少なくともウイスキーの熟成に3回以上使用したものを選び、内側を遠赤外線でじっくり加熱した焙煎樽にするか、または強い熱で焦がしたリチャー樽に加工して、その2種類の樽でそれぞれ熟成した梅酒をブレンドすることにより厚みのある味わいを引き出しているという。
ただし、「サントリー梅酒」シリーズ全4商品とも国産梅を使用していることと、ウイスキー樽で貯蔵する部分は共通しているものの、それ以外の素材や手順など製造方法には違いがある。たとえば最もリーズナブルな「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」はスピリッツをメイン原料にした梅酒をウイスキー樽で貯蔵し、ブランデーなど複数の原料酒をブレンドして出荷される。
「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド」は、同様の梅酒に梅酒樽で熟成したグレーンウイスキーをブレンドしたもの。そして「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー」は、梅酒を貯蔵した樽で熟成させたグレーンウイスキーと、モルトウイスキーをブレンドしたものとなる。一般的な梅酒の製造期間は1年半ほどだが、これら3商品は2年以上の時間をかけて作り込まれているという。
一方、5月発売の「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND」は、最初の梅酒をブランデーベースのものとし、ウイスキー樽で5年間貯蔵する。そのうえで、梅酒樽で長期間熟成させたモルトウイスキーや超長期熟成のブランデーをブレンド。ほかとは一線を画する贅沢な仕込み・仕上げが施されたまさに特別な一品だ。
甘くても大人な香りと味わい、家庭で手軽に楽しめるマリアージュのアイデアも
それぞれに特徴的な作り込みがなされた4種類の「サントリー梅酒」は、そのまま単体で飲むのももちろんいいが、サントリーはおすすめの飲み方や、料理とのマリアージュを楽しむことも提案している。試飲会では、サントリーのグルメ開発部が考案したという料理が提供された。
まず「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」は、ロックもしくはソーダ割りがおすすめとのこと。比較的軽い飲み応えながら、甘さは強く感じやすいため、ストレートだと後味が残ることもありそう。しかし、ロックやソーダ割りにすることで後を引かないさっぱりした甘さになり、それでいてブランデー由来の香りも引き立つように感じられる。
これに合わせる料理は「白エビのカルパッチョ」。大根の千枚漬けと昆布に挟まれた白エビの甘み・旨味に、添えられたからすみ、大葉のジェノベーゼソースなどの塩味が合わさった、複雑で繊細な味わいの料理だ。ソーダ割りにした「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」のすっきりした甘さと絶妙にマッチしていて、満足感が高い。
とはいえ、こうした創作料理を個人で再現するのはさすがに困難なため、酒巻氏は、家庭でもっと手軽にマリアージュを楽しめるアイデアとして「甘エビの刺身にミネラル豊富な塩を振る」というメニューを提案した。
次の「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド」は、より深みが加わった香りで、味わいにも一気に重厚さが増した大人な雰囲気の梅酒。おすすめの飲み方はロックで、マリアージュの例は「イチゴとフェタチーズの白和え」と「生ハムのグリッシーニ」。
イチゴの酸味に、豆腐を和えたフェタチーズの優しい舌触りの組み合わせは、梅酒の濃厚さと補完関係にあるように感じられる。反対に、塩味の強い生ハムとの相性も抜群だ。こちらも、フェタチーズやグリッシーニを購入するハードルが高いということであれば、その代わりに、バゲットにクリームチーズを載せたものをおつまみにするのもあり、とのこと。
3つ目の「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー」は、モルトウイスキーがブレンドされているためか、味わいとしては重厚感がさらに一段高まり、梅酒らしい甘さは深いコクとともに口に広がる。飲み方のおすすめはストレート。そのコクをより楽しみたいときには、料理にも濃い味のものがよさそうだ。
サントリーが提案するのは「ゴルゴンゾーラカヌレ」。外側は焦がし砂糖の濃厚な甘さ、中は塩味のある溶かしたゴルゴンゾーラチーズと、この「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー」自体に漬け込んだレーズンが閉じ込められており、強烈な甘味と塩味が交互にやってくる。そこにストレートの梅酒を合わせると、互いのコク深さが増し、まさに商品名通りのリッチなマリアージュとなる。
最後の「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND」は、料理とのマリアージュの提案はなく、純粋にストレートで楽しむことをおすすめしている。ブランデーベースの梅酒を使用し、モルトウイスキーがブレンドされているだけでなく、サントリーが資産としてストックしている「超長期熟成ブランデー古酒」、藤原氏いわく「いわゆるコニャックの高いやつ」もブレンドしているということで、華やかな香りとまろやかで上品な甘さをたたえる贅沢な洋酒という印象。口の広いグラスで飲むと香りや余韻をさらに感じやすくなるとして「グラッパグラス」の使用もおすすめしている。
筆者の個人的な好みとしては、試飲したなかでは「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド」が一番。ウイスキー樽らしい芳醇な香りがしっかり感じられ、しかし甘さやアルコール度数がやや控え目なことと、ブレンドされたグレーンウイスキーのおかげか飲みやすい。価格も3000円(税別)とそこまで高くないのもうれしいところ。店舗やバーなどで見つけたときは、ぜひ飲み比べをして自分好みの梅酒を発見してほしい。