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ニッカウヰスキー90周年「ザ・ニッカ ナインディケイズ」国内2000本限定で登場
2024年6月5日 14:09
- 2024年6月5日 発表
アサヒビールとニッカウヰスキーは、創業90周年を記念した「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を7月2日に2000本(日本1000本、海外1000本)限定で、10月に2000本(日本1000本、海外1000本)限定で発売する。
両社では、今年で創業90周年を迎えるニッカウヰスキーの洋酒事業を強化する方針で、新たに60億円の投資を行ない、樽貯蔵庫の新設などを進めていく。あわせて、新たなコミュニケーション・コンセプトとして「生きるを愉しむウイスキー」を掲げ、さまざまな取り組みを実施していく。
その一環として登場するのが、ブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ」の限定商品となる「ザ・ニッカ ナインディケイズ」で、オーセンティックバーやホテルバーなどを中心に販売するほか、各蒸溜所やコンセプトBARでも数量限定で有料試飲を行なう。
ニッカウヰスキーの歴史を振り返るように、余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所に現存する最古のモルト原酒、門司工場とさつま司蒸溜蔵のグレーン原酒、西宮工場の長期熟成のグレーン原酒、スコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所のモルト原酒など、1940年代~2020年代の9つの年代に仕込まれた150種類以上の原酒がブレンドされている。
ボトルには伝統工芸の江戸彫りの技法でロゴが刻まれており、キャップにかかるテープには6色の市松模様と複数の九角形を組み合わせたデザインを施すことで、各拠点で生み出された9つの年代の原酒の調和を表現している。
容量は700mlで、アルコール度数は48%。価格は33万円。気になる味わいについては、濃密な樽熟成香と甘みやコクが調和した厚みのある芳醇な味わいが特徴とされている。
両社では、7月~12月にかけて東京都内に新コンセプトの「生きるを愉しむウイスキー」の世界観を体感できるコンセプトBARを設置。オリジナルカクテルの提供やグッズの販売を行なっていく。海外でもロンドンやパリ、ローマ、ニューヨークなどのバーでイベントを実施する。
また、90周年を盛り上げるニッカウヰスキー国内スペシャルアンバサダーとして福山雅治を起用することもあわせて発表されている。
6月5日には報道関係者向けの説明会が開催され、アサヒビール 代表取締役社長の松山一雄氏、ニッカウヰスキー 代表取締役社長の爲定一智氏、チーフブレンダーの尾崎裕美氏が登壇し、今後の事業方針などを説明した。
松山氏は冒頭、「ニッカウヰスキーは今年、創業90周年を迎える。100年に向けたカウントダウン的な形でいろいろなことをやっていこうと考えている。アサヒビールにとってのニッカウヰスキーは、洋酒、スピリッツ事業を一手に担っている重要な戦略子会社」とした上で、年初の会見で掲げた「ビール強化」「スマートドリンキング」「High-Value」「業務用市場」「ニッカウヰスキー」の5つの重点領域の後半3つがニッカウヰスキーの事業に直結すると語った。
同氏は、直近のニッカウヰスキーの国内外での販売実績を示し、海外では10年前の2倍規模に、国内も2019年比で110%と堅調に推移していると紹介。ウイスキー市場全体のトレンドとしては、世界的には市場が拡大傾向にあり、高価格帯の伸長が著しいことや、ジャパニーズウイスキーへ評価が高くなってきているとする。
一方で同氏は、「一時期(ウイスキーが)全く売れず、在庫の山になった。焼酎など多角化して乗り切ってきたが、そういう中で設備投資に関してアグレッシブに攻めきれなかった部分がある」として、国内外での高いニーズに応えられるような供給能力こそがニッカウヰスキーの課題と指摘。
2019年~2021年にかけて約65億円を投じて設備増強を図ってきたが、2024年には新たに60億円を投資。来年以降も断続的に設備投資を行なっていくことで、現在の課題となっている長期熟成が必要となる高価格帯の商品の原酒を確保することで、グローバル市場においてトップ10入りすることを目指すとしている。
続いて登壇した爲定氏は、創業者の故・竹鶴政孝氏の思いを受け継いできたパイオニアスピリットや、余市や宮城峡といった蒸溜所のテロワール、ブレンドや樽の仕上げといった技術こそがニッカウヰスキーの強みだとした上で、その魅力やウイスキーの楽しみ方をさらに広く伝えていくために「生きるを愉しむウイスキー」という新たなコミュニケーション・コンセプトを設定したと説明する。
同氏によれば、ニッカウヰスキーのイメージは海外と国内で大きく異なっている。国内では伝統的で、ロックや水割り、ハイボールといった飲み方が大多数を占めているのに対し、海外ではイノベーティブやユニークといった評価を受けており、ウイスキーベースのカクテルに使用されるなど、多種多様な飲み方がされているという。
こうした背景もあり、7月から都内で展開するコンセプトBARでは、ニッカウイスキー欧州アンバサダーを務めるバーテンダーのスタニスラヴ氏監修のカクテルを提供しつつ、海外の主要都市でイベントを実施することで、国内外でのイメージのギャップを埋めていくことを目指す。
また、設備投資については、「お客さまが欲しいという商品が手に入らないという状況はできるだけ早く解消してきたい。そのために原酒製造能力の増強と原酒バランスの最適化を並行して進めていく」としている。ただ、長期熟成が必要な商品特性もあるため、数年で需給のギャップを埋めることは難しく、まずは貯蔵庫の増設を行ない、追って樽の準備、生産能力の増強という流れで順次供給能力を高めていくとのこと。
最後に登壇した尾崎氏は、2021年から販売している限定品「ニッカ ディスカバリーシリーズ」の集大成となるのが、今回の「ザ・ニッカ ナインディケイズ」だと説明。同氏によれば、一般的なブレンデッドウイスキーはグレーン原酒が多めに使われているが、ナインディケイズではモルト原酒が多めで、ブレンド後に再び樽に詰め、その後、常温で濾過することで、さまざまな成分を残す手法で作られているという。
同氏は、独特の甘い香りや香ばしい香りについて、「貯蔵庫の中を歩いているような気分にさせてくれるような香り」と表現。複雑な味わいについては、「暖炉の前にいるような暖かさ、温もりを感じさせる」としている。