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ワタミ、日本サブウェイを完全子会社化

2024年10月25日 発表

ワタミ株式会社 代表取締役会長兼社長 CEO 渡邊美樹氏

 ワタミは、日本サブウェイの株式持ち分を100%取得して子会社化することを発表した。

 食の総合企業としての事業展開を強化するとともに、ワタミファームの有機野菜を使用した商品開発、フランチャイズ展開のノウハウ強化ならびに海外進出の促進などさまざまなシナジーが見込まれることから持ち分取得を決議したという。

 発表会ではワタミ 代表取締役会長兼社長 CEO 渡邊美樹氏が登壇し、サブウェイの完全子会社化を発表。その後サブウェイ CEOのジョン・チッジー氏が登壇し、今回の買収にいたった経緯を説明した。

サブウェイ CEO ジョン・チッジー氏

 サブウェイはコネチカット州のブリッジポートで小さなサンドイッチ店として1965年にスタートしており、今では世界に約3万7000店舗を展開する大型チェーンとなっている。日本の店舗数は現時点で178店舗。

 サブウェイの海外成長戦略で重視しているのは強力に確立した、市場を熟知しているパートナーで、これからワタミグループと組んで世界における事業を拡大強化していきたい。

 過去3年間でサブウェイは20以上のマスターフランチャイズ契約を締結し、アジア太平洋・ヨーロッパ・中東・ラテンアメリカなどで今後1万店以上の出店を予定している。こうしたマスターフランチャイジーによる新規開店は2024年で全体の40%以上を占める。

 一時は閉店が上回っていたが、2023年には店舗数は純増に転じ、既存店売り上げも4年連続で伸び続けている。こと日本ではサブウェイにとって大きな長期にわたるチャンスがあると考えている。

 このパートナーシップによって新規開店をスピードアップさせることはもちろん、新装開店によるブランドイメージの近代化やDX化の加速、ワタミファームとのサプライチェーンの生み出すシナジー効果によって各フランチャイジーの収益性も改善されていくと確信しているという。

 その後は再度渡邊美樹氏が登壇し、今回の子会社化と事業戦略について説明した。世界中を回ってサブウェイを見ているうちに世界に4万店舗、日本に約2900店舗あるマクドナルドに対抗できるのはサブウェイしかないと確信したという。

ワタミがサブウェイを選んだ理由

 理由は5つあり、1つ目は世界に約3万7000店舗を持つ世界的なブランド力。2つ目はハンバーガーではなくサンドイッチという、まったく違った対立軸を持てること。3つ目はその美味しさ。

 特にサブウェイは非常にローカル色を大事にしておりその国独自のメニューを推奨している。ワタミが所有する有機農場ワタミファームを使って新鮮なレタスや有機トマト、玉ねぎ、ピーマンなどを使ってサブウェイを展開できれば日本独自の和風の味など、今のサブウェイよりはるかに美味しいものが作れる。

 4つ目は強い業態力で、回転率の高さによりROI(投資収益率)が非常に高く、ワタミならこれをさらに高めることができる。5つ目は小商圏業態。6.5坪から出店できる強みを活かして駅ナカ、駅前、商店街、モール、郊外、病院、大学まで出店できるため3000店舗以上の出店が可能と考えている。

 また、同時に再生可能エネルギーを使った循環型6次産業モデル“ワタミモデル”を推進し、ワタミファームから安心安全な食品をサブウェイによって日本中に届け、リサイクルなどを通して持続可能なサステナブルな社会を実現していきたいという。

 円安によるインバウンド拡大により外国人に親しみやすいブランドは日本にとって大きなビジネスチャンスになる。また、サブウェイブランドを通して世界のFCとのつながりができ、日本の業態を世界に持っていける大きなきっかけになるとも考えている。さらにサブウェイによって若者へのワタミブランドの訴求力を向上させるという意味もある。

 出店計画に関してはまず、ワタミ本社ビル1階にサブウェイを出店させ、研修施設やブランドショップとして機能させる。来年2、3月には東京の1等地にフラグシップ店舗を作り、ワタミサブウェイとしてのオリジナルメニューを出していく。

 サブウェイはマクドナルドやバーガーキングといったハンバーガーチェーンとは違った立ち位置にあり、毎日店内で焼き上げるパンや新鮮な野菜、そして1食あたり300kcalからというヘルシーさの強みがある。これにワタミの有機野菜などを組み合わせることでさらに差別化ができる。

 契約としては10年間で250店舗を出店することになっており、これは必ず達成していきたい。そのためにこれから1年間で25店舗をまず出店していきたいと思っている。その後は状況に応じて加速度的に年間150店舗の出店ができるような体制を組んでいきたい。

 一番の問題は労働力不足で、今後狙っていきたい山手線の中の店舗というのは非常に働き手が集まりにくい。ここが一番のボトルネックになってくる。今までワタミの業態は立地がボトルネックだったが、これからはよい立地を選ぶほど労働力がボトルネックになってくると考えている。

 これについては来年のフラグシップ店出店時に人が集まるような仕組みを紹介できるように考えているので楽しみにしてほしいと語った。

 最後に駐日アメリカ合衆国大使館 商務担当 エリック・ポドゾースキー氏が登壇し今回のお祝いのメッセージを述べたあと、今回のマスターフランチャイズ契約の調印式を行なった。

駐日アメリカ合衆国大使館 商務担当 エリック・ポドゾースキー氏
調印式の様子