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メルシャン、若者向けに飲みやすさを追求したスパークリングワイン

2025年6月23日 取材
マーケティング部 マーケティング戦略グループの韮沢奈津美氏(左)と松山周平氏(右)

 メルシャンは、ボトル缶入りの「カクテルスパークリングワイン」シリーズ3商品を6月24日に発売する。290mlボトル缶入りで、320円前後(税別)で販売される。

 カクテルスパークリングワインは、飲みやすさとほっと一息つける甘さを兼ね備えた缶チューハイなどのRTD(Ready To Drink)を好んで飲むユーザーに向けた商品。「白ワイン×アイスティー」「ロゼワイン×グレフルスカッシュ」「赤ワイン×レモネード」の3商品を展開する。いずれもアルコール度数は5%。

 マーケティング部 マーケティング戦略グループの韮沢奈津美氏によれば、同社では“プレミアマイズ”による市場の魅力化と新規ユーザーの獲得による裾野の拡大の2つの方向でワイン市場の活性化を目指している。今回の商品のメインターゲットは、消費者の嗜好が多様化するなか、自分自身の感性やライフスタイルに合っているかどうかという観点で商品を選択する「自分らしさ層」だという。

「カクテルスパークリングワイン」シリーズの3商品。左から「白ワイン×アイスティー」「ロゼワイン×グレフルスカッシュ」「赤ワイン×レモネード」

 同氏は、自社の強みについて、「ワインの定義や意味を変えるのではなく、増やすところにチャレンジしてきた歴史。瓶じゃなきゃいけない、コルクじゃなきゃいけないというところを、ペットボトルやスクリューキャップを使い、それでもワインなんだよというところで(市場を)広げてきた」とした上で、キリンで販売している「本搾り」(缶チューハイ)が元々はメルシャンが開発したブランドで、果汁をデザインする力も強みの一つだと説明する。

 今回の商品も、そうしたノウハウを注ぎ込んで開発されたものとなるが、開発にあたって意識したのは、ワイン特有の品種や産地といった小難しさをいかに排除するかというところ。また、普段はRTDを好んで飲むZ世代を含む若年層が、週末や疲れた日に自分へのご褒美として求めるのが「ほっと一息つける甘さ」だとして、あえてRTDで勢いがある無糖ではなく、ほんのりとした甘さのある商品開発に挑んだという。

 それぞれ白、赤、ロゼのワインと果汁や素材を組み合わせることで、飲みやすさや選びやすさを演出しているほか、パッケージにボトル缶を採用することで、缶チューハイともワインとも異なる世界観を表現。さらに、オリジナルのプレイリストをSpotify上で公開するなど、“ちょっと贅沢な自分時間”といったトキ消費にフィットさせる試みにも挑戦している。

 また、7月29日には500mlの瓶入りの「フルーツ・クーラー」シリーズ3商品も登場する。こちらは700円前後(税別)で販売される予定。アルコール度数は5%。

 こちらも同様に新規ユーザーの獲得を目指して開発されたスパークリングワインとなっており、若い世代が苦手とする苦みや渋み、酸味といったワイン特有のクセを抑え、フルーツの風味と甘みを加えることで飲みやすさを追求したものとなっている。

「フルーツ・クーラー」シリーズ3商品。左から「レモン」「ピーチ」「オレンジ」

 マーケティング部 マーケティング戦略グループの松山周平氏によれば、それぞれ白ワイン、ロゼワイン、赤ワインをベースに使いながらも、商品名ではワインを表現せず、あわせるフルーツの「レモン」「ピーチ」「オレンジ」を商品名として強調することで、「実はこれもワイン」という気づきを通じてワインの魅力を伝えたいのだとか。

 発売よりもひと足早く試飲する機会があったが、いずれもワインらしさを残しながらも飲みやすい味わいになっていることが分かる。一般的なワインのアルコール度数は10~15%となっているが、今回の商品は5%になっており、炭酸の爽快さも手伝ってスッキリと飲み進められる。

 RTDユーザーをターゲットにした商品とはいえ、ゴクゴクと飲めるようにスッキリとした後味に仕立てられている缶チューハイとは対照的に、しっかりとワインらしい余韻が感じられるのが今回の両商品の特徴だ。透明な液色の缶チューハイとは異なり、グラスに注げばワイン由来の色合いも目で楽しめる。チビチビと口に含みながら、自分時間や友人との時間をゆったりと楽しむのにオススメの商品と言えるだろう。