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サントリー、大阪工場「スピリッツ・リキュール工房」にロボティクス導入。さらなる「美味品質追求の時間」を創出

安川電機などとの協業で原料取り扱いエリアでハンドリングを自動化

2025年8月26日 発表
サントリー大阪工場の「スピリッツ・リキュール工房」でハンドリング自動化(写真提供:サントリー)

 サントリーは大阪工場「スピリッツ・リキュール工房」の原料取り扱いエリアを自動化したことを発表した。

 大阪工場は「赤玉ポートワイン」(1907年発売)のヒットなどを受けて1919年に建設されたサントリーで最も歴史のある工場(前身は築港工場)で、生産能力増強および美味品質向上に向けこの6月に竣工したのが「スピリッツ・リキュール工房」となっている。スピリッツ・リキュール工房ではジンや缶チューハイなどの「キー原料酒」を製造しており、本施設の完成で生産能力は2.6倍になるという。

1919年からの長い歴史があるサントリーの大阪工場
大阪工場「スピリッツ・リキュール工房」のハンドリング自動化を説明した(右から)サントリーホールディングス株式会社 グローバル技術戦略推進部 部長 澤崎純一氏とサントリー株式会社 大阪工場 工務部門設備グループ 高橋大輔氏

 スピリッツ・リキュール工房において、安川電機などとの協業により原料運搬ロボット・原料ハンドリングロボットを導入、倉庫から原料を運搬し投入するまでのプロセスを自動化し、人の手による原料取り扱い業務の時間を三分の一(年間約2,000時間)削減できることを見込んでいる。この作業負担軽減により、生産現場では「美味品質追求の時間」をより創出できるとしている。

安川電機などとの協業により原料運搬ロボット・原料ハンドリングロボットを導入して倉庫から原料を運搬し投入するまでのプロセスを自動化

 スピリッツ・リキュール工房では工程が上階から下の階へ降りていく流れになっており、5階において原料を搬入して開封するところから、計量検査、投入、容器洗浄までの工程にロボティクスを活用していく。

サントリー大阪工場「スピリッツ・リキュール工房」(2025年6月取材時)
工程に沿った上階から下階への流れになっている
スピリッツ・リキュール工房ではジンや缶チューハイなどの「キー原料酒」を製造している

 原料ハンドリングロボットは段ボール・クラフト袋・バケツなどさまざまな梱包スタイルに対応しており、AIカメラが形態を把握して柔軟にロボットが自動でハンドを持ち替えて荷下ろしや開梱などを行なう。

 原料の投入では自動で品質検査をして揮発物質から腐敗検知を、AIカメラで外観異常検知を実施。データを蓄積・活用することで、品質保証の仕組みを深化させていくという。

 これらの自動化により創出された時間でさらなる付加価値を生み出し、生産性の向上と美味品質を追求。今後は自動化で扱える原料の種類の拡大や、ほかの工程、ほかの工場への技術展開も見据えている。

原料の搬入から投入まで
原料のさまざまな梱包スタイルに対応
外観異常・腐敗をチェック