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くら寿司が原宿にZ世代向け店舗オープン、さらなる成長戦略を発表

2021年12月9日 オープン

くら寿司 原宿店の外観

 くら寿司は12月9日、Z世代向け店舗「くら寿司 原宿店」を原宿にオープンする。前日の12月8日には事業戦略説明会と新店舗のお披露目会が開催された。

新戦略の「スシテナブル」実現のために6テーマに挑戦

 事業戦略説明会に登壇した取締役副社長の田中信氏は、国内の第26期(2020年11月~2021年10月)の売上げが過去最高の1315.6億円、経常利益は昨年の赤字から脱却し、44.5億円と黒字決算に至ったことを説明。その要因として、スマートくら寿司の導入、くらランチや持ち帰りの推進、「鬼滅の刃」など話題の企画とのコラボを示した。

取締役副社長の田中信氏

 スマートくら寿司とは、デジタル技術を活用することで、入店から退店まで非接触で利用できる取り組み。自分のスマホからの注文、抗菌寿司カバー、セルフレジなど、withコロナ時代に合致した安心・安全の取り組みが多くの客に支持された。中でも抗菌寿司カバーは第三者の調査機関による検査の結果、菌の繁殖を1/7に抑える効果が証明されるなど、コロナ禍において有効な取り組みであることが数値としても証明されたという。

10周年を迎えた「抗菌寿司カバー鮮度くん」。フタに触れずに皿を取り出せる
テーブルのタッチパネルでQRコードを読み取ることで、自分のスマホから注文できる

 そんなくら寿司の第27期の新戦略は「スシテナブル」。安くて美味しい寿司を永続的に提供し、サステナブルな経営を目指す。その新戦略に向けて推進するのが次の6つの挑戦だ。

2021年11月からの第27期の新戦略

 中でも1の「新たなユーザー層獲得」では、スマホネイティブなZ世代に注目。Z世代は流行や消費の新たな担い手と言われている世代。「ある調査によると、2020年時点でアメリカの消費の40%以上がZ世代で、金額にして約1430億ドルもの購買力を持つと言われています」と田中副社長。そこで、くら寿司としてはもちろん、業界でも初となるZ世代向けの新店舗「くら寿司 原宿店」を12月9日にオープンすることを発表した。

 2の「お寿司の安定供給」においては、生鮮魚介類の価格高騰や漁業分野での人手不足などの課題を解決するべく、11月1日に水産専門会社である「KURAおさかなファーム」を設立。デジタル化による効率的な養殖、生産者の流通支援の取り組みなどを実施する。その第一弾としては、今年から養殖を手掛けていた国内初の「オーガニックはまち」を、12月9日より全国の店舗で販売開始。また、5の「コロナ対策」においては、従来から進めているスマートくら寿司の取り組みが12月17日に全店に完備することを説明した。

世界一映える寿司屋を実現した「くら寿司 原宿店」

 12月9日にオープンするZ世代向け店舗「くら寿司 原宿店」は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がプロデュース。佐藤氏は2020年1月にオープンしたグローバル旗艦店の1号店「くら寿司 浅草ROX店」、2021年4月オープンの2号店「くら寿司 道頓堀店」に続き、今回の3号店についても担当した。

クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏

 登壇した佐藤氏は、1号店「くら寿司 浅草ROX店」のインテリアデザインについて、「寿司は江戸の大衆食文化。歌川広重の浮世絵で寿司が屋台で売られているのを見て、このイメージを現代に蘇らせて再現することで、新しい回転寿司の未来を示せるのではないかと思った」とデザインの発想について説明。このデザインイメージは2号店、今回の新店舗にも活かされ、大屋根を設けてその下にテーブルを配置するスタイルに。2号店で人気の暖簾による半個室に加え、新店舗では新たに障子で仕切られる個室を用意した。

暖簾で隠れることでプライベート感があると好評の半個室
新店舗には新たに障子で仕切られる個室を導入

 新店舗のインテリアデザインのコンセプトは、「日本の伝統文化×トウキョウ・ポップカルチャー」。従来のイメージに加え、Z世代向け店舗ということで、さまざまなフォトスポットを用意し、世界一映える寿司屋を実現した。新店舗にはカラフル提灯ウォールや巨大浮世絵、ロゴウォールなど、フォトスポットが満載となっている。

エレベータを降りると目に飛び込んでくるカラフル提灯ウォール
巨大浮世絵とくら寿司のさまざまなロゴを集めたロゴウォール

 そして新店舗の目玉となるのが、近未来的なクロームメッキのスイーツ屋台だ。ここでは大手回転寿司チェーンで初導入となる自動クレープ焼き機を2台設置し、赤と黄色の2色に彩られたクレープを提供。寿司屋ならではの「sushiクレープ」も新たに開発した。

スイーツ屋台ではクレープやソフトなどを提供
大手回転寿司チェーンで初導入となる自動クレープ焼き機
スイーツ屋台で提供されるクレープ

 新店舗のお披露目会では「sushiクレープ ツナサラダ」(380円)と「sushiクレープ イベリコ豚カルビ」(380円)を試食した。いずれも揚げたシャリが入っているのが特徴だが、ライスハンバーガーのようで、グリーンリーフやクリームチーズ、たまご、きゅうりなどの具材とうまくマッチした。クレープ生地も甘みを抑えているので、チャパティのような感じでしっくり食べられた。

sushiクレープ ツナサラダ(左)とsushiクレープ イベリコ豚カルビ(右)

 スイーツのクレープとしては、「マンゴーWクリーム」(380円)、「いちごWクリーム」(380円)のほか、「チョコレートナッツ」(280円)、「メイプルシロップバター」(280円)を用意。スイーツ屋台にはソフトクリームマシンも設置し、「生乳ソフト」(280円~)やパフェ「Flower Jelly フルーツミックス」(880円)など、原宿店でしか味わえないスイーツを提供する。

マンゴーWクリーム(左、380円)、いちごWクリーム(右、380円)

 これらのスイーツはテーブルに設置されているタッチパネルからオーダーできる。スイーツを受け取った後は座席を離れて、明治通りに面したバーカウンターや、国立競技場や東京タワーが見えるテラスで食べることも可能。特にテラスは夜の夜景がキレイでおすすめなのだそう。

眼下に明治通りを望めるバーカウンター
明治神宮や六本木方面を一望できるテラス

 また、国内初のオーガニックフィッシュ認証を受けた「オーガニックはまち」についても試食した。この「オーガニックはまち」は、通常の天然魚よりもオルニチンが3倍含まれ、3貫でしじみ汁1杯分になるそう。その要因として、オーガニックなエサ、いけすに入れる魚の数が少ないことなどが影響していると考えられている。

特大切りオーガニックはまち(220円、一部店舗では価格が異なる)

 発表会の後半にはゲストとして、山之内すずとパンサーの3人が登場。Z世代コトバで食レポ対決などを実施。山之内が「おいしすぎて草なんだが大丈夫そ?」とリアルZ世代ぶりを発揮して盛り上げた。

「くら寿司 原宿店」で記念撮影。取締役副社長の田中信氏(右)とクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏(左)
(右から)山之内すず、パンサーの尾形・向井・菅

くら寿司 原宿店

所在地:東京都渋谷区神宮前4-31-10 YMスクエア原宿4階
営業時間:11:00~23:00(L.O.22:30)※12/9は12:00~20:00
座席数:245席(ボックス41席、カウンター7席)