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サントリー、「マスターズドリーム〈無濾過〉」でプレモルの価値の理解を

2022年2月3日 発表

サントリービール マーケティング本部 プレミアム戦略部長の水谷俊彦氏

 サントリービールは2月3日、「ザ・プレミアム・モルツ」(プレモル)のマーケティング方針説明会を開催し、マーケティング本部 プレミアム戦略部長の水谷俊彦氏が直近の動向と2022年の方針を説明した。

 水谷氏は、2021年を振り返り、通年での出荷数は対前年比で99%となったことから、「大変悔しい結果になった」としつつも、戦略商品として位置づけた〈香る〉エールが101%となり、さらに2022年1月の実績としてプレモル全体で114%、〈香る〉エールが131%と、昨年中に取り組んだ施策の成果が少しずつ現れてきたと語った。

 同氏によれば、コロナ禍において消費者の生活様式や意識が変化してきており、従来の年に何回かの“大ハレ”の日を重視した戦略から、日常への定着を重視した戦略に移行したことが、こうした復調につながったという。

 同社の調査では、高級・高品質志向は一層高まる傾向があり、2022年もこうした路線を継続し、プレミアムビールの価値を高める施策と、消費者の理解を深めることで価値を拡げる施策に注力しつつ、日常への定着を目指し、ネットを活用してユーザーとのコミュニケーションを図っていく。

 同氏は、「2023年、2026年と酒税改正が予定されており、量はそこまで減らないが売上の単価が下がってくる」と近い将来を見据え、「その金額を払う価値があると理解していただく必要がある。改めてプレミアムビールの価値を理解いただきたい」と述べ、価値を高める施策の一環として4月5日に発売するプレモルの最高峰「マスターズドリーム〈無濾過〉」を紹介。説明会には同社 商品開発研究部 開発主幹の丸橋太一氏が武蔵野ビール工場からリモートで参加し、同商品の魅力を語った。

マスターズドリーム〈無濾過〉

 丸橋氏によれば、チェコでのビールの飲まれ方を挙げ、「休日になると、朝も昼も夜もビールを飲みながら何時間も語らいながらゆったりと過ごす方が多い。ビールを飲むのが目的ではなく、ビールで生活を豊かに楽しんでいる」とし、こうした飲み方を日本に向けて提案する意気込みで今回の商品を開発したのだという。

商品開発研究部 開発主幹の丸橋太一氏

 同氏は、開発においては「単に刺激、キレではなく、じっくりと心地よく飲み続けられる」ように工夫し、“多重奏で濃密”な味わいを実現したと胸を張る。素材としてはダイヤモンド麦芽を使用し、その旨味を引き出すために、銅製循環型ケトルで3度炊き上げる「トリプルデコクション製法」を用いることで、絶妙な味わいを目指した。

 さらに、商品名の通り、今回は「無濾過」にこだわり、濾過することで失われてしまううまみ成分が残るようにすることで、口に含んで時間が経過するにつれて複雑に風味が変化する“多重奏”の実現を目指した。同氏によると、濾過することでコントロールできていた味のバランスを無濾過で実現することや、量産する上で品質を安定させることにはとくに苦労したのだとか。

 水谷氏によれば、同商品は税別260円程度で販売される見込みだ。

 また、価値を拡げる施策としては、引き続き「〈香る〉エール」の拡販に注力しながら、「ザ・プレミアム・モルツ〈グランアロマ〉」(3月22日数量限定発売)といった新商品を投入することで、若い世代へのアプローチを強化していく。

ザ・プレミアム・モルツ〈グランアロマ〉

 ユーザーとのコミュニケーションでは、2月7日にLINE上に「プレモルメンバーズ」を立ち上げ、ポイントを貯めて、さまざまな特典と交換できるサービスや、プレモルの楽しみ方の提案を行なっていく。

プレモルメンバーズ

 水谷氏は「小売店、飲食店、イベント、オンラインコンテンツのすべての接点を活用し、プレモルを楽しんでいただけるような情報を提供し、お客さまからもお話をいただく。一人ひとりに合わせた形でコミュニケーションしていく仕組みを実現していきたい」とした上で、初年度の目標として100万人のメンバー獲得を目指すと語った。

 また、同氏は「コロナ禍でどうなるか分からない」としながらも、マスターズドリーム5L樽の全国発売など、業務向けの市場拡大にも取り組んでいくとする。

 同社では、こうした施策を通じて、2022年の販売数量(前年比)を、プレモル全体で113%、家庭向けの缶で100%、業務向けの樽で140%にする計画だとしている。