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新生「サントリー株式会社」設立で市場の変化に対応~2022年の国内酒類事業方針
2022年1月6日 18:24
サントリービールは1月6日、2022年の国内の酒類事業方針についての説明会を開催した。
サントリーBWS 代表取締役社長の鳥井信宏氏は、2021年を振り返り、酒類事業全体が新型コロナの影響を受けたとし、「8%減となった2020年に続いて、2021年も前年を2%ほど割り込んだと推定している」とした上で、「緊急事態宣言が長引いたことで飲食店の営業自粛が続き、業務向けのビールの販売量が前年比で77%に落ち込んだことが主な要因」だと説明した。
家庭向けでは、2020年10月の酒税改正で減税となったビール缶市場は2桁増となった一方、同時に増税となった新ジャンルの缶は前年割れとなった。このほか、RTDについては堅調に推移しており、酒類計では前年を上回った。
鳥井氏は、「今後、ますます多様性を増す消費者のニーズを、いかに早く正確に把握して対応することがすべて」と述べ、スピード感をもって事業に取り組むために今年7月に新生「サントリー株式会社」を設立すると説明。中間持株会社のサントリーBWSと、サントリービール、サントリースピリッツ、サントリーワインインターナショナル、サントリー酒類の4つの事業会社を統合し、「日本で最も愛される酒類メーカーになるということがビジョン」だと語った。
あわせて環境保全や適正飲酒といった課題についても、設定した目標に沿って対応を進めていくとしている。
2022年の事業戦略としては、同社が創業以来100年にわたって大切にしている4つの「お酒の価値」を再確認するとともに、これを「安」「健」「嗜」の3つのユーザーニーズに沿った形に落とし込み、「デイリー」「プレミアム」「炭酸割」「健康・機能」「ノンアル」の5つのポイントで価値の訴求を行なっていく方針。酒類合計で前年比107%を目標に掲げている。
続いてサントリービール 代表取締役社長の西田英一郎氏が、ビール事業の具体的な戦略を説明した。
2021年のビール事業は、コロナ禍での飲食店の営業自粛の影響が大きく、業務用の販売が前年比75%と苦戦を強いられた。家庭用の缶商品については、ビールが126%、ノンアルコールのオールフリーが110%となる一方、新ジャンルの金麦が93%となり、家庭用全体では97%、ビール事業全体では94%となった。
西田氏は、2022年の市場の見通しとして、「業務用市場の回復」「健康意識の拡大」「消費の二極化」の3つのポイントを挙げ、これらに重点的に取り組んでいくという方向性を示した。
業務用市場の回復について、同氏は、「新型コロナの感染状況に大きく左右されることになり、今後も予断を許さない」としつつも、「全体としては緩やかに回復に向かう」と見込んでおり、「この厳しい市場環境だからこそ、あえて新商品を投入し、料飲店さまとともに業務用市場をしっかりと盛り上げていきたい」とする。
具体的には、エリア限定で展開している「マスターズドリーム」の5L樽を4月5日から全国展開することや、本格的なビールでありながらも糖質ゼロという特徴をもつ「パーフェクトサントリービール」の樽詰展開を3月15日にスタートすることを明らかにした。
家庭向けのプレミアム商品としては、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドを引き続き訴求。4月5日には「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」を発売するほか、「ザ・プレミアム・モルツ〈香る〉エール」についてもリニューアルすることで、“もう1つのプレモル”としての存在感を高めていく。
健康機能系では、1月25日に「パーフェクトサントリービール」をリニューアル発売。中味の骨格はそのままに、ダイヤモンド麦芽を1.3倍に増量することで、ビールらしさの強化を図る。あわせて「オールフリー」や「からだを想うオールフリー」の勢いをさらに伸長させたいとしている。
また、外食の回復により、コロナ禍で好調だった家飲みへの支出金額は抑制される見込みがあるため、安くても質や満足度が高い商品が求められるとして、「金麦」ブランドの再強化を図る。酒税改正の影響による落ち込みも一巡し、10月~12月には前年を上回る水準になっていることから、3月8日にリバイタライズして再出発。1月11日には「金麦〈糖質75%オフ〉」、2月8日には「金麦〈ザ・ラガー〉」もリニューアル発売する。
これらの戦略に加え、西田氏は「さらに来年にはサントリーならではの新需要創造を目指し、多くのお客さまがあっと驚くような、そしてワクワクしていただけるようなイノベーティブなアイデアを複数世に送り出していく予定」だとしている。