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沖縄SVとネスレ日本による「沖縄コーヒープロジェクト」に、うるま市が参画。サッカー元日本代表・髙原氏がコーヒーを試飲「よい香りで美味しい」

2022年5月24日 開催

「沖縄コーヒープロジェクト」進捗報告・新規活動発表会が開かれた

 サッカー元日本代表の髙原直泰氏が代表取締役を務める沖縄SV(エスファウ)とネスレ日本は、4年目を迎えた「沖縄コーヒープロジェクト」について進捗と新規活動を報告するため発表会を開いた。

「沖縄コーヒープロジェクト」は、県内の耕作放棄地などを活用してコーヒー豆の生産量を拡大し、沖縄のコーヒー豆やコーヒー製品を新たな特産品へと育て、農業就業者の高齢化や後継者不足なども含めた問題解決を目指す取り組みとして、名護市、琉球大学と連携して2019年4月にスタート。今回、うるま市が加わったことで新農場・施設なども企画された。

沖縄県も含まれるコーヒー栽培に適した「コーヒーベルト」

ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 深谷龍彦氏

 発表会では、ネスレ日本 代表取締役社長兼CEOの深谷龍彦氏より、改めて同プロジェクトの発足背景や狙いについて説明があった。

 沖縄県では、農業就業者の高齢化や後継者不足から、耕作放棄地の増加が課題となっている。さらに、サトウキビなど沖縄県産農産物の競争力が低いことに加え、本州でもよく消費されるいちごなどを作っても、輸送コストなどの問題があり、“沖縄県で作れて本州でもよく消費されるもの”とマッチが難しいという。

 また、北緯25~南緯25度はコーヒー栽培に適した地帯で、沖縄県は北緯24~28度(本島は北緯約26度)にあり、「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯に入っている。
 そこでネスレ日本は、沖縄県外で作れる可能性が低く、本州でたくさん消費される「コーヒー」に目を付けた。本州では、1年間に1人当たり平均400杯のコーヒーが飲まれており、1次産業の課題解決についても、耕作放棄地などを活用した栽培ができ、沖縄県産コーヒーを新たな特産品へと育成することで、新たな産業育成の可能性もあると述べた。

沖縄県でのコーヒー栽培は「順調に生育している」

沖縄SV株式会社 代表取締役 髙原直泰氏

 続いて登壇した沖縄SV 代表取締役の髙原直泰氏は、コーヒー栽培の生育状況について「順調に生育している」と説明。

 しかし、台風の強風によって苗木が倒されることや、強い日差しによって葉が黄色くなってしまう“葉焼け”が起きることもあるため、防風ネットやシェードづりを付けて対応しているとのこと。

 さらに、琉球大学に設置している研究農園で、どのようなコーヒー豆が沖縄県に合っているのかを研究するほか、沖縄県立北部農林高校と連携して、次世代のコーヒー農家の人材育成にも取り組んでいるという。

 名護市の農地で、コーヒーの苗木を移植・栽培を開始して以降、地元住民や農家との連携も広げて、現在は11か所で累計6500本のコーヒー苗木の植樹を終えた(2022年4月末時点)。初収穫は2022年冬を予定している。

 発表会では、髙原氏が同プロジェクトでとれた中煎りコーヒーを試飲し、「味はすっきりしているけど、その中に酸味とコクがしっかりあってバランスが取れていると思う。よい香りで美味しい」とコメントした。

コーヒーを試飲する髙原氏

「沖縄県産コーヒー」の中長期での製品化を目指す

ネスレ日本株式会社 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&システム、ギフトボックスビジネス部 部長 髙岡二郎氏

 ネスレ日本 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&システム、ギフトボックスビジネス部 部長の髙岡二郎氏によると、ファーストステップとして、沖縄県の土壌や気候に適した品種や栽培方法を確立。次いで、現地でのコーヒー豆の収穫体験や試飲を行ない、イベントでの提供やお土産の販売を経て、全国向けに幅広いチャネルでの商品販売し、中長期での製品化の実現を目指しているという。

うるま市での「コーヒーを活用した地域活性化」について

うるま市長 中村正人氏

 プロジェクトに加わったうるま市からは市長の中村正人氏が登壇。うるま市は沖縄本島中部に位置し、県内3番目に人口が多く、沖縄SVのホームタウンのうちの1つでもある。

 うるま市での「コーヒーを活用した地域活性化」は、コーヒー栽培地の拡大だけにとどまらない新たな取り組みを模索していた沖縄SV・ネスレ日本と、地域が抱える課題解決を行ないたいうるま市との想いが一致し、連携に至ったと説明。

 耕作放棄地を活用した新農場を7月に整備開始予定で、コーヒーをはじめとした農作物を栽培する農作業には、沖縄SVの選手・関係者のほか、福祉事業者のスタッフも従事するという。

 そのほか、市民の憩いの場となるユニバーサルカフェ「TSUMUGU Café supported by NESCAFÉ」(仮称)を2023年3月にオープン予定。「農福連携をしながら新たな産業を作っていきたい」と展望を示した。