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キリン、免疫ケアを習慣化する新商品の投入でプラズマ乳酸菌入り飲料の需要を拡大。1000万ケース超の販売を目指す
2023年1月26日 14:11
- 2023年1月25日 発表
キリンビバレッジは1月25日、事業方針発表会を開催。2023年は健康カテゴリーに注力し、プラズマ乳酸菌入り飲料による高収益化を目指す。「免疫ケア」を習慣化する新商品として、「キリン おいしい免疫ケア」を3月28日に発売することを発表。これらプラズマ乳酸菌入り飲料による販売目標として1000万ケース超を掲げた。
健康カテゴリーに注力し新たに「お客さまの毎日に、美味しい健康を。」を制定
登壇した代表取締役社長の吉村透留氏は、2022年の振り返りと2023年の戦略方針について次のように説明した。
2022年の清涼飲料水市場は、経済活動と人流が回復したことで、前年比102%で着地の見込み。長引くコロナ禍で先行き不透明な市場環境ではあるものの、健康カテゴリーは引き続き好調に成長しており、特にヘルスサイエンス領域とプラズマ乳酸菌入り飲料などの特保・機能性表示食品は14%増にもなった。
免疫細胞全体を活性化させるプラズマ乳酸菌入り飲料「キリン iMUSE」シリーズは、500mLペットボトルのヨーグルトテイスト、レモン、水の3品のほか、2022年3月に発売した100mLペットボトルの新商品「キリン iMUSE 朝の免疫ケア」も好調。手応えを感じつつも、まだまだ間口拡大のチャンスがあると考える。
このような健康カテゴリーの実績から、値上げラッシュで消費者の節約意識は高まるものの、価値があると判断したものには、見合った価格を支出する傾向があると判断。吉村社長は「プラズマ乳酸菌での戦いを挑み、清涼飲料メーカーとしての存在価値を出していきたい」と語る。
そこで2023年は、最大の社会課題の1つである健康にフォーカスし、ヘルスサイエンス領域を加速させる。「子供から大人まで、幅広いお客さまに美味しい飲料をお届けする。それがキリンビバレッジの使命であると同時に、キリンビバレッジだからこそできることではないかと思います。楽しくて幸せな健康習慣を作って生き生きと毎日が過ごせる。そのような心身の健康に対して、いろんな提案をしていきたい」と吉村社長。そこで「お客さまの毎日に、美味しい健康を。」というキャッチフレーズを新たに制定した。
2023年の具体的な戦略方針としては、「強固なブランドポートフォリオの構築」と、「事業インフラの整備・確立」の2つの戦略課題を掲げた。
戦略課題1「強固なブランドポートフォリオの構築」
「強固なブランドポートフォリオの構築」では、次の3つの事業に注力する。
1.プラズマ乳酸菌入り飲料による高収益化
2.基盤ブランド育成による再成長
3.ファンケルとの協業加速
1.プラズマ乳酸菌入り飲料による高収益化
プラズマ乳酸菌入り飲料という唯一無二の素材を強みに、「免疫ケア」と言えばキリンを目指して、免疫ケアの習慣化とその接点の拡大に取り組む。そこで小容量サイズの新商品「キリン おいしい免疫ケア」を3月28日に発売。また、「キリン 生茶 免疫ケア」においても新たに280mLの小容量サイズを4月4日より展開する。
2.基盤ブランド育成による再成長
キリンを代表する2ブランドの価値を強化する。「キリン 午後の紅茶」ブランドは紅茶本来の価値の発信を強化。非常に好調な「おいしい無糖」シリーズには既存のダージリンティー、レモンティーに加えて、新たにミルクティーを3月7日に発売する。また「キリン 生茶」ブランドは独自価値を見直し、春にリニューアルを実施。さらに2021年から環境フラッグシップブランドとして推進している、環境への取り組みも進めていく。
戦略課題2「事業インフラの整備・確立」
「事業インフラの整備・確立」では、次の2つの事業に注力する。
1.生産・SCMのコスト競争力強化
2.自動販売機チャネルの販売強化と新たな活用
1.生産・SCMのコスト競争力強化
湘南工場に100億円の投資をし、3月から発売する新商品の100mLペットボトルの「キリン おいしい免疫ケア」の自社製造を開始する。また、2022年11月から物流問題解決に向けて三菱重工グループと物流倉庫作業の自動化実証実験を開始。さらに、東北エリアに新たに生産協力拠点を確保する。
2.自動販売機チャネルの販売強化と新たな活用
直営店とも言える自動販売機のチャネルで、新発売の「キリン×ファンケル カロリミット アップルスパークリング」や280mLサイズの「キリン 生茶 免疫ケア」といったヘルスサイエンス領域の商品を強化する。健康経営を支援する法人向けサービスの「KIRIN naturals」の拡大のほか、非競争領域における他企業との協業もさらに拡大していきたいと考える。
このような戦略を行なうことで、2023年の販売計画として売上げ収益合計で10%増、ヘルスサイエンス領域の売上収益を50%以上に伸ばし、「高収益化を実現していきたい」と吉村社長。プラズマ乳酸菌入り飲料は1000万ケース超、基盤ブランドの「キリン 午後の紅茶」においても5000万ケース超を目指す考えを示した。
心と体の健康に繋がる美味しさを追求した新商品を発売
詳細なマーケティング戦略については、執行役員マーケティング部長の成清敬之氏が説明した。
継続的な健康ニーズに高まりで、機能性表示食品や特保の飲料の需要は長期的に上昇。無糖飲料についても高まりを見せ、消費者に健康意識が定着していることがうかがえる。より価値を吟味する傾向にあり、身近な商品で心の豊かさや心の健康を求める意識が強くなっている。
そのような市場環境から、ヘルスサイエンス領域については「健康価値+美味しさ」、基盤ブランドについては「ブランド価値+美味しさ」を追求したマーケティングを行なう。「キリンの健康価値やブランド価値を提供することが大事」だと成清氏は言う。
2023年のマーケティング戦略において、「全てのブランドを通じて、お客さまの毎日に心と体の健康につながる美味しさで貢献する」ことを掲げる。そのための具体的なマーケティング戦略として、次の3つを挙げる。
1.プラズマ乳酸菌入り飲料による「免疫ケア」市場の創造
2.基盤ブランドの育成
3.ファンケルとの協業加速
1.プラズマ乳酸菌入り飲料による「免疫ケア」市場の創造
プラズマ乳酸菌入り飲料は2022年に対前年比23%増と大幅に市場を拡大することができた。独自調査でも約9割が免疫ケアは欠かせないとその重要性を理解する一方、実際に習慣化できている人は約1割とギャップがあることが浮き彫りになった。
この免疫意識の高まりをチャンスと捉え、キリンでは2022年3月に「iMUSE 朝の免疫ケア」を発売しているが、さらに美味しさをアピールした「キリン おいしい免疫ケア」を新発売することで、免疫ケアの習慣化を図る。
「多くのお客さまが毎日の暮らしの中に免疫ケアを採り入れていく状態をつくりたい」と、新発売する「キリン おいしい免疫ケア」は、プラズマ乳酸菌を1億個配合した爽やかなヨーグルトテイスト。機能と美味しさがストレートに伝わるネーミングとパッケージデザインで訴求する。
事業方針発表記者会見ではいち早く、新商品「キリン おいしい免疫ケア」を試飲することができた。ほどよい甘さと酸味の味わいで、ヨーグルト系の飲料にありがちな後味が残る感じがなく、スッキリと飲みやすかった。また100mL容器なので飲み切りやすく、保管面でもコンパクトで習慣化しやすいと感じた。
2.基盤ブランドの育成
基盤ブランドではキリンを代表する「キリン 午後の紅茶」と「キリン 生茶」をさらに強化。「キリン 午後の紅茶」については2021年に1000万ケースの大台を突破し、その後も対前年比で約2割増とけん引する「おいしい無糖」シリーズに新たにミルクティーを新発売。紅茶カテゴリーの拡大を推進する。
「キリン 生茶」についてはここ数年減少傾向にあったが、リユーアルを機に2022年に再成長が見られた。その成長をさらに加速させるために、「生茶ブランドのDNAである品質、それから革新性をお客さまに伝えていきながら、お茶に対するイメージを刷新していき、無糖茶カテゴリーにお客さまの期待を創り出していきたい」と成清氏は意気込んだ。
新商品一覧
3月7日発売:
「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー 500mL」(160円)
3月28日発売:
「キリン おいしい免疫ケア 100mL」(139円)
「キリン おいしい免疫ケア 100mL×6本パック」(834円)
4月4日発売:
「キリン 生茶 免疫ケア 280mL」(138円)
4月11日発売:
「キリン ファイア ワンデイ 砂糖不使用ラテ 600mL」(168円)
4月25日発売:
「キリン×ファンケル カロリミット アップルスパークリング 350mL缶」(115円)
「キリン×ファンケル アミノサプリ プラス」555mL」(147円)
※価格はいずれも税別