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サントリー、好調なビール3ブランドの強化で10月の酒税改正に臨む

10月3日には「パーフェクトサントリービール〈黒〉」が登場

2023年8月22日 取材

ビールカンパニー マーケティング本部長の多田寅氏

 サントリーは8月22日、ビール事業についてのマーケティング説明会を開催し、ビールカンパニー マーケティング本部長の多田寅氏が2023年前半を振り返るとともに、10月の酒税改正に向けての取り組みを説明した。

 多田氏は冒頭、1月~7月の実績を紹介。ビール類市場全体では前年比99%と見込まれる販売数量だが、同社としては前年比111%となった。

 中でも狭義のビールが134%と好調で、2月にリニューアルを実施したザ・プレミアム・モルツが111%、糖質ゼロを売りにしたパーフェクトサントリービールが101%となったほか、4月に発売したサントリー生ビールも大瓶換算で228万ケースを売り上げ、市場を牽引した。

 いわゆる新ジャンルの金麦については、市場全体が88%と厳しい状況となる中、101%と前年を上回っており、同ブランドの強さが発揮された。

 業務用の瓶や樽については、新型コロナの影響が薄れたこともあり、市場全体で127%と大きく回復していると推測。同社としても、137%と全体を上回るペースで回復させられていると胸を張る。

1月~7月の実績

 続いて同氏は、好調なザ・プレミアム・モルツ、サントリー生ビール、パーフェクトサントリービールの3シリーズでこの半年に実施してきた施策を紹介。

 ザ・プレミアム・モルツでは、20年目の節目に中味やデザインを時代に合う形に大きくリニューアル。「週末のごほうび」をテーマにプロモーションを実施したことが着実に成果に結びつき、新規ユーザーの獲得や低頻度ユーザーの獲得に繋がったとしている。

 サントリー生ビールは、コクがあり後味がスッキリしているという味わいが20~40代の若い世代に受け入れられ、ビールカテゴリーの間口の拡大に繋がったと評価。当初300万ケースとしていた年間計画については、400万ケースに上方修正し、さらなるマーケティング施策を実施していくという。

 パーフェクトサントリービールについては、おいしさと糖質ゼロの両立という商品価値を食との相性を訴求することで、新規ユーザーやライトユーザーの獲得を図った。2022年春から業務用に提供している樽詰についても、12月には5000店まで拡大する見込みだという。

 10月に控えている酒税改正については、新ジャンルの税率が上がり、狭義のビールの税率が下がるため、必然的に後者の魅力が高まり、とりわけ缶商品の伸長が見込まれる。

 このため、同社としては勢いがある3ブランドを軸にビールカテゴリーに注力し、消費者ニーズを捉えた限定品によるトライアルの最大化と、業務用の商品力強化で料飲店での接点を作り、これを家庭用商品の販売に繋げていくことを目指す。

 ザ・プレミアム・モルツについては、10月17日にザ・プレミアム・モルツと同香るエールの特別なデザイン缶とともに、冬限定の同ジャパニーズエールを発売することで華やかさを演出し、市場の活性化を図る。

 パーフェクトサントリービールについては、10月3日に日本初となる糖質ゼロの黒ビール「パーフェクトサントリービール〈黒〉」を数量限定で発売する。

ザ・プレミアム・モルツのデザイン缶と冬限定商品
パーフェクトサントリービール〈黒〉

 多田氏は「黒は飲みごたえが求められるが、糖質ゼロにするとスッキリした味わいになる。そのバランスをどこに置くかが難しい。詳しくは明かせないが、麦芽やホップの配合比率や醸造の条件を変えることで実現した」と、醸造家泣かせの商品だったことを紹介した。

 サントリー生ビールについては、来春から業務用の瓶・樽を提供する計画で、外食での接点を増やすことで認知を促し、家庭用の缶の販売に結びつける方針。

 こうした施策により、2023年通期では、市場全体が前年比97%と予測される状況下において、同社としてはそれを上回る104%を目指すとしている。

2023年通期の計画