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大阪・関西万博、未来の食の可能性が感じられる会場内の飲食店

2025年2月4日 発表

2025年大阪・関西万博 未来の食の楽しみ発表会 ~EXPO FOOD COLLECTION 2025~

 2025年日本国際博覧会協会は2月4日、「2025年大阪・関西万博 未来の食の楽しみ発表会 ~EXPO FOOD COLLECTION 2025~」と題し、万博会場内で営業する主要な飲食店とコンセプトの一部を大阪市内で発表した。

 事務総長の石毛博行氏は、「万博の大きな楽しみの一つは、世界と未来のグルメ旅行」だとした上で、今回は未来の食をフォーカスした発表会になると宣言。「1970年の大阪万博ではケンタッキーフライドチキンなどのファストフードが人気となり、外食産業がその後日本社会に浸透するきっかけとなった。それから半世紀を経て、今回の大阪・関西万博のキーワードの一つはSDGs、命の持続可能性。人間だけでなく、すべての命の持続可能性の実現を目指した未来の食の可能性を感じていただきたい」と語る。

事務総長の石毛博行氏

 同氏は「先端技術を駆使した料理、持続可能な食材を使用したメニュー、フードロスや資源循環への配慮、ハラル、ヴィーガンといったフードダイバーシティへの対応。万博会場には食の世界が目指す未来社会の姿が溢れている」と述べ、今回紹介する飲食施設以外に世界各国や民間のパビリオンでの食事とあわせ、会場全体で約100店舗で飲食サービスが提供されることをアナウンス。「万博はパビリオンというイベントだけではない。世界や未来と触れ合う食の体験を通じて、これまでにない新たな楽しみを発見していただきたい」とアピールした。

 企画局長の河本健一氏によれば、会場内には約70店舗の飲食店や約20店舗の物販店が設置されており、飲食店については未来の食や暮らしを体感できるように構成されている。

企画局長の河本健一氏

 今回の発表会には、協会が企画する未来社会ショーケース事業の一環として新たな技術や社会システム、生活スタイルなどを提案する「未来型営業施設」、未来型営業施設と同様のコンセプトで規模や業態を限定せずに幅広い企業や団体に参加してもらう「未来型チャレンジショップ」、小山薫堂氏がコンセプトを設定し、これからの食環境や食べる価値の見直しにつながる未来志向の飲食施設となる「EARTH TABLE ~未来食堂~」、ロボットと人が協働する次世代の飲食店を表現した「サスティナブルフードコート」の4つの区分を代表する企業が集結した。

「未来型営業施設」という位置づけでは、くら寿司が「くら寿司 大阪・関西万博店」、サントリーホールディングスが「SUNTORY PARK CAFE」「水空 SUIKUU」「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所 大阪・関西万博ウォータープラザ店」、FOOD & LIFE COMPANIESが「スシロー未来型万博店」を展開する。

 くら寿司は、すでに発表している通り、万博に参加する国や地域を代表する約70の料理を開発。外壁に廃棄される貝殻を再活用した漆喰を用いた店内には、135mの回転ベルト、338席を設置。各国の代表料理とくら寿司の寿司ネタが手をつなぐように鮮度くん(寿司カバー)に入って回ってくる。万博向けに開発されたメニューは、2月7日から全国のくら寿司でも1店舗1品ずつ提供される。

くら寿司

 サントリーは、1970年にも「生命の水」というテーマで出展。今回は「水と生きる」というテーマが設定されているが、基本的なメッセージは前回同様となっており、飲料メーカーとして水の重要性を伝えていく。

サントリー

 スシローは、「まわるすしは、つづくすしへ。―すし屋の未来 2050―」というテーマを掲げ、25年後の食卓体験をイメージ。提供するすべての寿司で天然魚を使用せず、陸上養殖で育てたウニをはじめ、養殖ネタ100%に挑戦する。また、大型のタッチパネルディスプレイを使用した次世代型店舗「デジロー」の新機能を万博店先行で導入。店舗内の人々がみんなで参加できるゲームなど、新たな体験を作り出す。

スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)

「未来型チャレンジショップ」には、青木松風庵が「月化粧×うなぎパイ 大阪・関西万博店」、白ハト食品工業が「らぽっぽファーム ~おいもとイチゴとりんごのfarm to the table~」、まねき食品が「MANEKI FUTURE STUDIO JAPAN」を出店する。

 青木松風庵は、機能性表示食品として販売している「金の月化粧」や、うなぎパイをジェラートと組み合わせた「うなぎパイジェラート」などを販売する。

月化粧とうなぎパイ(青木松風庵)

 白ハト食品工業は、“日本の農業の未来を示すショップ”をテーマに掲げ、鉄コンテナでさつまいもの育苗を行なうデモや、リンゴの高密栽培の紹介などとあわせて、ポテトアップルパイやストロベリーパイ、ソフトクリーム、パフェ、ピザなどを提供する。

らぽっぽファーム(白ハト食品工業)

 まねき食品は、輪島塗の容器に姫路市民のソウルフードとされる「えきそば」を神戸牛の肩ロースを使い、海鮮系の出汁をきかせた究極バージョンにアップグレードしたメニューなどを提供する。

まねき食品

「EARTH TABLE ~未来食堂~」には、ケンミン食品が「GF RAMEN LAB 大阪・関西万博店」、竹下製菓が「EARTH SWEETS ~Presented by Takeshita Seika~」、野口典朗氏が「とんかつ乃ぐち」、ニチレイフーズが「テラスニチレイ」を出店する。

 ビーフンで知られるケンミン食品は、自社の技術を活かしてグルテンフリー(GF)のラーメンを提案する。

ケンミン食品

 竹下製菓は、グルテンフリーのチュロスとプラントベースのアイスを提案。「大阪」「おおさか」の文字の形をしたチュロスのインパクトが強力だが、公式キャラクターのミャクミャクをイメージしたチュロスも開発中とのこと。同社の人気商品の「ブラックモンブラン」のチョコ以外をプラントベースに置き換えたバージョンも用意する。

竹下製菓

 唯一の個人店参加となる「とんかつ乃ぐち」は、世界的にも珍しいとんかつの調理技術に着目。定食として提供されることが一般的なとんかつだが、同店では一貫ずつ異なる部位を提供してもてなすという。

とんかつ乃ぐち

 ニチレイフーズは、1970年の万博にも参加しており、冷凍食品市場が成長するきっかけになった。今回は、保存性や利便性だけでない新しい価値の提供をテーマに、具材を自分好みにカスタマイズできる炒飯や、凍ったまま食べられる今川焼、高い冷凍技術が求められるアセロラを使用したスムージーなどで、新たな冷凍食品の価値を提案していく。

ニチレイフーズ

「サスティナブルフードコート」では、大阪を代表するさまざまなグルメが販売されるほか、各種ロボットを活用した飲食店の形が体験できる。

サスティナブルフードコート
串かつだるま(一門会)
てっぱん豊島家(エルマノス)
大阪王将
クンテープ
世界1番おいしいパン屋さん~知らんけど~(光明興業)
豚かつ牛かつくれおーる
道頓堀みつる(柴田)
たこ家道頓堀くくる
大起水産回転寿司
ねぎ焼やまもと
らぽっぽファーム(白ハト食品工業)
どうとんぼり神座

 各社のプレゼンテーションの後には、大阪出身のタレント、はるな愛が登場。自身も大西賢示(本名)として飲食店を経営するプロの目線で各社の料理を試食して感想を語りつつ、「万博を通じて、食を通じて心を豊かにしていただきたい。全部食べてしまったのでダイエットしないといけない」とユーモアを交えてアピールしていた。

はるな愛

 今回の発表会に参加した各社に聞いたところ、万博で提供するメニューの一部はすでに商品化されており、新たに開発したものも万博会場内での反響を見ながら商品化を目指していくとのこと。数十年後の当たり前を体感できるのが大阪・関西万博の魅力と言えるだろう。