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サントリー、30代の気持ちに寄り添って開発した「-196」新商品

2025年7月22日 取材
(左から)サントリーホールディングス デザインセンターの神村晃世氏、サントリー ビール・RTD本部 RTD部の玉腰潤氏、サントリー スピリッツ・ワイン開発生産本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部の成瀬祐里氏

 サントリーは、7月29日に発売する“果実がおいしいチューハイ”「-196(イチキューロク)」についての説明会を開催した。

 同社では、2024年に缶チューハイブランドの「-196℃(マイナスヒャクキュウジュウロクド)」を「-196」にリニューアル。無糖やストロングゼロといった売れ筋の無糖系を中心に商品を展開してきた。

 ビール・RTD本部 RTD部の玉腰潤氏は、RTD(Ready To Drink)の市場について、度数軸、甘くないこと、レモンサワーといった消費者ニーズに応え、時代にあった商品提案により右肩上がりで拡大してきたとした上で、中でも無糖系の商品が大きく伸長し、市場を牽引していると指摘する。

 その一方でライフステージの変化に伴ってお酒との接し方に変化が出始める30代の消費者が、無糖の商品が多く棚に並ぶ状況に「自分たち向けの提案がない」「話題性がない」と感じているとして、改めて30代にフォーカスして、約2年にわたり参与調査などの手法も組み合わせて徹底的に調査に取り組んできたという。

 そこで見えてきたのは、外的要因によって自分の感情を大きく揺さぶられたくないといった性格的な特徴や、情報過多な生活を送るなかでシンプルで分かりやすいことが大事だと考える選択指向、お酒を飲む時ぐらいは何も考えずにポジティブに過ごしたいと考える傾向があること。

 こうした共通特徴があることから、直感的で分かりやすく、おいしそうであることが重要だと考え、-196の強みである「発散」と消費者が求める「緩和」という切り口で今回の商品を開発することにしたしたとする。

 スピリッツ・ワイン開発生産本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部の成瀬祐里氏によれば、目指したのは、果実の味わいを忠実に再現するのではなく、果物を食べた時のおいしさやうれしさを体感できるチューハイ。

 レモン、シャインマスカット、白桃の3フレーバーをラインアップするが、それぞれ最初にフレッシュで軽やかな香りを感じ、その後、さわやかな味が広がり、最後に自然でやわらかい甘さを感じ、伸びのある優しい香りと味わいを余韻として感じられる設計になっているとのこと。

 パッケージデザインについても、シルバーを基調とした-196シリーズの中において、青を基調とした一際目を引くカラーリングになっている。サントリーホールディングス デザインセンターの神村晃世氏によると、晴れ晴れしさを演出する開放的な青空と太陽光をイメージしているのだとか。「Why -196?」といった囲みや側面のアイコン表示などで-196℃製法の特徴も記載することで、おいしさへの納得感も得られるように工夫している。

 また、玉腰氏は商品の発売時期についても言及。通常は売り場が変わる春夏や秋冬のタイミングで通年商品を発売するが、今回の商品はターゲットとなる30代がそこまで強くお酒を求めておらず、売り場で気になったものを購入する傾向が強いことを考慮し、最もRTD商品が売れる夏最盛期に新商品を投入することにしたという。

 なお、同社では有糖系の商品として「CRAFT-196℃」シリーズを展開してきたが、今後は「-196」「-196無糖」「-196 STRONG ZERO」の3シリーズにカテゴリーの柱を整理し、商品展開を図っていくとしている。