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KDDI SUMMIT 2025の舞台裏でローソンとKDDIが語った未来のコンビニ

2025年10月28日 取材
(左から)KDDI 執行役員 パーソナル事業本部 パートナーグロース本部長の久木浩樹氏、ローソン 上級執行役員 経営戦略本部 副本部長の酒井勝昭氏、KDDI 事業創造本部 副本部長 兼 LXビジネス企画部 部長の鶴田悟史氏

 10月28日~29日にかけて開催された「KDDI SUMMIT 2025」の初日、KDDI 執行役員 パーソナル事業本部 パートナーグロース本部長の久木浩樹氏、同 事業創造本部 副本部長 兼 LXビジネス企画部 部長の鶴田悟史氏、ローソン 上級執行役員 経営戦略本部 副本部長の酒井勝昭氏とともに「ローソン×KDDIが取り組むコンビニの最前線」と題したトークセッションに進行役として登壇する機会をいただいた。

 その内容については別途掲載した講演レポートを読んでいただくとして、登壇後にステージ上でお伝えしきれなかったあれこれを伺ってきたので、お伝えしたい。

――競争が激しいコンビニ業界ですが、ローソンの強みについてはどのように認識されていますか。

酒井氏:フォーマット論ではないですが、◯◯ローソンみたいなものは過去から積極的にやってきました。弊社の場合、フランチャイズが基本で、「マネジメントオーナー(MO)制度」というものが古くからあります。皆さん最初は1店舗からお店を広げていかれ、ほかのフランチャイズのオーナーさんを引っ張っていただける。そんなオーナーさんから我々経営に対しても定期的にご意見を言えるような場も設けたりしています。そこが他社との大きな違いじゃないかと思っています。

 決して弊社もないわけではありませんが、経営が考えていること、本部が考えていることをMOの方々に素直にどうなのかと相談させていただき、評価いただきます。いろんなチャレンジをする際、ローソンはいきなりフランチャイズ店からやるんですね。

 MOの方々にお願いして一番いいのは、やはり社員に何か意見を聞いても「はい、頑張ってます」みたいな感じでフィードバックがなかったりしますが、オーナーさんはその点、全く違っていて、「これ、イケてないよ」とか「いい加減にしろよ」とか、そういう本音を言っていただくと、精度が上がっていくんです。

――現場の感覚というか、当事者意識としてサラリーマンとは違う視点で真剣に見られていることが強みになると。

酒井氏:大塚に「グリーンローソン」というお店があり、サステナブルをテーマに、いろんなチャレンジを行なっています。そこではレジ袋をお渡しすることもなく、フォークやスプーンの配布もしていません。これ、普通は直営店でやる実験だと思うんですが、それを最初からMOさんにやっていただけている。MOさんがクルーを集めて「こういうことをやります」と説明すると、「クレームになったらどうするんですか」とか言われると思うんです。これをお願いできるオーナーさんがいるというのは本当に強いんじゃないかなと思います。

――高輪ゲートウェイには一般向けとKDDIの社員向けの2つのローソンがありますが、KDDIがフランチャイジーとして店舗を運営されているということですが。

久木氏:ビジネスの形態としてはフランチャイズと代理店という違いはあるんですが、自分たちがやってきたことと近しいのかなと思って始めたところ、やはり似ている部分もあれば、違う部分も見えてきました。

 例えば、高輪ではPoC(概念実証)としてスマートフォンの純正アクセサリー類を置いたりしています。これを全国展開します、みたいなときには、それを仕入れていただけるかどうかとなると、オーナーさんの裁量は結構大きくて、実際に売れたということが実証されなければ、なかなか広がっていかないというのは、KDDIのキャリアショップや代理店さま向けビジネスモデルと違う部分があります。どういうものだったら取り扱ってもらえるのか、みたいなところは、慎重に協議していかないといけません。

――KDDIとして、ローソンのMOとの接点はあるのでしょうか?

久木氏:今はローソンさん経由で話を伺っていますが、我々の本部ではau PAY加盟店さまの開拓も行なっており、そちらの顔で各地域を訪れ、現場のお話を伺ったりすることはあります。

――今回のKDDI SUMMITの展示会場では、ロボットやAIと、いろんなテクノロジーを活用して、例えば人手不足のような課題を解決しようというような提案がありました。

久木氏:今のテックは初期投資が重いので、水平展開がなかなか難しいという側面はあります。例えば、ロボットがいろんな大きさや形で、いろんな硬さや柔らかさがあるものをピックアップするのは難しかったりします。だから、高輪ゲートウェイのローソンではペットボトルに限って陳列にロボットを活用していますが、我々の物流センターもそうですが、棚を動かすという逆の発想になっています。DX化するためには今のテックがどうあるべきかを考えながらやっています。

 ただ、飲料を補充する仕組みも、すごく機能している部分というのもあって、17階のオフィスローソンでいうと、人がペットボトルを補充する作業は3日に1回ぐらいでいいとか、実は実証実験の効果としては見えていたりします。どういう店舗だったら、これが100%の力を発揮する、みたいなことをこれから知見として使っていければ、初期投資を回収できるような絵が描けるかもしれないですし、そのために知見を蓄積していきたいと思います。

――ポンとロボットを置けばいいというわけでもないんですね。

鶴田氏:元々ローソンさんも50年にわたってお店をやってきて、コンビニのオペレーションをもう磨きに磨いて今の形があるわけで、そこにいきなりロボットを入れても溶け込まないんです。周辺のオペレーションなども総合的に考えて最適化していかないと、機能を発揮せず、むしろ邪魔になっちゃうようなことが起きてしまいます。ですから、ロボットが入ってくる前提で、また次の50年なのか分かりませんが、時間をかけて収まっていくんだと思います。

酒井氏:将来のローソン像がこうあるべきで、その中にはテックが入っており、研ぎ澄まされ、さらに磨かれ、やめるものもあれば、代わって加わるものはどういうもので、そこには人は何人存在していて、どんな立地だったらどんなお客さまに来店いただけるだろうか、みたいなことも全部ひっくるめたとき、未来のローソンってどうなんだという議論を始めています。

“ローソングループ大変革実行委員会”のプロジェクトの中で、2030年に店舗オペレーションを30%削減することに取り組んでいます。

 例えば、店舗ではロボットが動いて冷蔵庫に飲料を補充してくれます。それはそれでありがたい話なんですが、もっとお願いしたいのは、いろんな商品がカーゴ台車でセンターからお店に運ばれていくんですが、これを人間が運んでいるわけです。超重たいです。

 高輪の6階のお店では、それをロボティクスがやってくれたら、腰を傷めずに済むし、女性でも働きやすくなります。これを具現化してほしいとお願いしたら、「いや、ローソンさん、この段差がダメです。ぶつかってしまいます。狭いです」とか、川上で見直さなきゃいけないものがいっぱいあるんです。

 だから、店舗だけに限らず、そこから我々のこれまでの50年の話をさせていただいて、ここがボトルネックなんだと、どんどん川上に上っていくはずなんですよね。まだ全然やれていないことの方が多いぐらいです。

――今回のイベントでは、自動運転のマイクロバスも展示されていましたが、そことも結びついていくんですね。

久木氏:6階の店舗は朝7時オープンで21時まで営業しているんですが、実はシフトが一番厚いのは朝6時半からなんです。結局、届いたものを朝イチで陳列するところに一番人手がかかっています。この高輪の立地でも、朝6時半だと募集をかけてもなかなか人材の確保が難しいんです。

 周辺の工事などもあり、開店直後だとおにぎりが並んでいなかったりすることもあるのですが、うちの会社って出社が早い社員も多いので、「全然ないじゃないか」と。まさか入社29年目でおにぎりがなくて怒られるとは……(笑)。

 酒井さんがおっしゃっている搬入も含めたところっていうのは、コンビニ運営においてはものすごく労力がかかっていると、やってみて実際の肌感として分かってきました。

――改めて皆さんに解決していきたい社会課題を伺いたいのですが。

鶴田氏:私はテック系を担当していますが、やはり人手不足を解決したいと思っています。今一番そこが有効に働く、テクノロジーで何とか解決できるような領域なのかなという風に思うので、コンビニだけでなく、絶対しなきゃいけない領域だと思ってこだわっているところです。

久木氏:私もその人手不足と繋がりますが、地方のインフラの縮小みたいなところです。私、単身赴任なんです。自宅があるのは滋賀県なのですが、県庁所在地でも少し外れると限界集落がたくさんあって、そこに住んで25年になりますが、25年前はこうじゃなかったということが実感としてあるので、地方の機能をいかに維持するか、住んでいる人が不便を感じないように何か貢献できないかと思います。今やっているリモート接客システムみたいなものは機能させないといけないんだろうなと。

 やっぱり医療ですよね。自宅ではなく、実家があるのはもっと郊外で、産婦人科などは10km以上走らないとありません。リモートだけでは対応できない場面もありますが、その辺は切実です。

酒井氏:地方に行くと、移動手段の課題が出てきます。とくに高齢者の生活が大変です。そんなとき、一番近くにあるローソンは何をしているのかと。人手不足はテックの力で、お客さまにご負担をいただくことも出てこようかと思いますが、セルフレジなどで解決できるかもしれません。

 もう1つは、地域で今、買い場がどんどん失われていっています。百貨店がなくなり、地元の生鮮スーパーがなくなっています。買い場を維持するためにはローソンだけでは解消できず、地元のパートナーさんや個人商店の方々もそれぞれに苦労しながら、コンソーシアムではないですが、誰かがお声がけをして、この地域をみんなの力でなんとかしましょうという世界を作らない限りは所詮は空回りしてしまいます。

――ローソンとしてKDDIに何を期待されているのでしょうか。

酒井氏:何よりも加盟店さんの期待が大きいんです。繰り返しになりますが、やっぱり人手不足は大きな課題です。発注業務などはAIで巻き取るなど、できるだけ負担を少なくできるようにサポートしていくのですが、お店のオペレーションは複雑で、レジと清掃だけで半分ほどのリソースを取られてしまいます。床だけではなく、トイレや窓も、清掃しなければお店が汚くなり、お客さまを失うことに直結するので、必ずやらなきゃいけない。

 郊外のお店では虫も多く、オープンケースと言われる白いケースのまわりは小さい虫が来て、やってもやっても繰り返し清掃が必要です。オーナーさんからすると、こういう現実を一刻も早くKDDIさんにお伝えし、「こういうことはできませんか?」と相談し、その期待に応えていかないといけない。ネタはたくさんあります。

 KDDI SUMMITに参加して、現物を見ると、ワクワク感しかありません。紙やPowerPointの資料で拝見することも多いですが、自動運転バスとかドローンとか、KDDIさんの取り組みに驚かされます。これをオーナーさんがご覧になったら、きっと「いつ使えるのか」と急かされそうですが(笑)、本当にいろんな方々に見てもらいたいと思いました。

――ありがとうございます。これからの展開も楽しみにしています。