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レジ待ち行列ゼロのローソン、KDDIオフィス内にオープン

2025年7月24日 取材
KDDI社員専用フロアに設置された「ローソン S KDDI高輪本社店」

 KDDIは7月24日、“高輪から始まる「未来の実験場」”と題した発表会を開催し、JR東日本やローソンなどと一緒にTAKANAWA GATEWAY CITYで取り組んでいく実験の内容を公開した。

 22年ぶりに本社を移転したKDDIだが、代表取締役社長 CEOの松田浩路氏は、「ここ高輪はイノベーション発祥の地とも言われている。日本初の鉄道が未来のレースを敷いたこの場所から、私たちも2030年ビジョンの実現に向けて、新たな挑戦、大いなる未来への実験への挑戦を始めていきたい」と語る。

 同社では、街のさまざまな情報を収集し、それをサイバー空間で分析し、リアルな街づくりにフィードバックする仕組みを「TAKANAWA GATEWAY URBAN OS」として構築。街を訪れる人に向けてはハイパー・パーソナルな体験を、街で働く人に向けてはハイパー・パフォーマンスな体験として提供していくことを目指すという。

KDDI 代表取締役社長 CEOの松田浩路氏

 具体的なイメージとしては、スマートフォンや敷地内を巡回するロボットなどを通じて街を訪れた人、一人ひとりにあった提案を行なったり、人の流れを店舗側で把握できるようにすることで、関連商品の準備を促したり、スタッフの配置を最適化したりできるようにしていく。

ビルの外では赤ちゃんを連れた女性を検知し、ロボットがオススメの飲み物のサンプリング提供するとともに、ベビーカーの貸出サービスがあることをアピール

 同社が入居するTHE LINKPILLAR 1 NORTHの6階には、誰でも利用できる「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」がすでにオープンしており、AIやロボットなどの最先端技術を活用した未来コンビニ「Real×Tech LAWSON」1号店として営業しているが、今回はKDDI社員専用フロアに設置された「ローソン S KDDI高輪本社店」が公開された。

 同店は一般の店舗とは異なり、レジが1台も設置されておらず、スマートフォン用の「オフィスローソンアプリ」を使って買い物を行なう仕組みになっている。そこにはオフィス街のコンビニエンスストアでよく見られる昼休み時間帯のレジ待ち行列の光景はなく、スムーズな購買体験を実現している。

オフィスローソンアプリ

 さらに、回遊販売を行なったり、デリバリーを行なったりする配送ロボットも配置。同店から積み込んだ商品を回遊販売するロボットの位置情報や在庫情報はアプリ上で確認できるようになっており、必要に応じて呼び止めて購入できる。デリバリーロボットは高輪ゲートウェイシティ店に注文された商品を執務室まで届けてくれる。

コーヒーマシンや電子レンジはあるが、レジは1台もない
回遊販売用のロボット
こちらは高輪ゲートウェイシティ店からやってくるデリバリー用のロボット

 社内店舗については土日に営業しないことから、金曜日に消費期限が近づいた商品を割引販売するダイナミックプライシングの仕組みも導入し、フードロスの削減にも取り組んでいくという。また、購買履歴をもとに、カロリーや栄養バランスを考慮した商品のレコメンドやクーポンの配布なども行なっていくとしている。

 発表会には、KDDIとともに街づくりに取り組むJR東日本 代表取締役社長の喜勢陽一氏も登壇。同氏は「TAKANAWA GATEWAY CITYで実証された先進的なソリューションは、都市の課題解決にとどまらず、地方の持続可能な発展にも貢献する可能性を秘めている」と期待感を示していた。

JR東日本 代表取締役社長の喜勢陽一氏(左)