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KDDI大阪第2ビルに設置されたオフィスローソンを見てきた

2025年12月16日 取材
ローソン KDDI 大阪第2ビル店

 KDDIとローソンは12月16日、KDDI大阪第2ビルの社員専用フロアに「ローソン KDDI 大阪第2ビル店」をオープンした。

 両社では、東京・高輪のKDDI新社屋でオフィス環境に最適化した“Real×Tech LAWSON”の実験店舗「ローソン S KDDI 高輪本社店」を運営しているが、今回オープンする店舗は高輪本社以外の事業所への拡大の第1弾となる。

 店舗側にはレジがなく、専用の「オフィスローソンアプリ」にスマホレジ機能を持たせることでレジ待ちの時間を省略。効率よく買い物できるようにすることで、オフィスで働く人の生産性の向上に寄与する。

 各個人の購買履歴も残るため、パーソナライズされた商品のレコメンドも可能となり、タイムセールを行なうことでフードロスの削減につなげたり、食事補助として社員向けのクーポンを配布したりする取り組みもスタートしている。

オフィスローソンアプリのスマホレジ機能
食事補助クーポンも配布
店内の厨房でできたての弁当や惣菜を提供
アップルだけでなくグーグルのアクセサリーの取り扱いもスタート
ロボットが飲料を補充
天井に設置されたカメラで店舗の利用状況をさまざまな角度から分析できるようにしている

 高輪の場合、社員専用の「ローソン S KDDI高輪本社店」(17階)と、誰でも利用できる「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」(6階)の2店舗があり、異なる購買体験を提供していたが、今回の「ローソン KDDI 大阪第2ビル店」は両方のサービスを1つにしたイメージになっている。

 例えば、高輪では年齢確認が必要なアルコールやたばこといった商品の販売は6階でのみ行なわれていたが、大阪ではセルフレジを設置することで年齢確認にも対応していく。ただ、朝や昼の混雑時間帯を含め、平均滞在時間2.5分という圧倒的なタイパを実現できるスマホレジの利用がメインになると考えられる。

 高輪の6階の店舗で導入していた来店客の動きを検知してサイネージの内容を変化させる仕組みについては、社員専用の大阪の店舗では省略。一方で高輪の6階の店舗内にリモート接客ブースが設置されていたが、大阪では店舗近くの休憩スペースに設置することで社員の利便性を高めている。

セルフレジを設置することで年齢確認が必要な商品の販売も行なっていく
店舗近くの休憩スペースにリモート接客ブースを設置

 現時点で約1万3000人が勤務する高輪のビルに対し、大阪第2ビルは約2000人と商圏がコンパクト。同社では、オフィスローソンという店舗運営モデルの外販も視野に開発を進めているが、ニーズがあるとされる工場内の店舗など、規模感としてのリアリティが増した印象だ。

 KDDI 執行役員 パーソナル事業本部 パートナーグロース本部長の久木浩樹氏によれば、隣の大阪第1ビルの社員食堂の中にオフィスローソンのサテライト店舗を設置し、食後や間食のニーズに対応できるようにスイーツやお菓子などを販売することも検討しているという。

 店舗の運営面での工夫だけでなく、コミュニケーションの活性化や福利厚生といった取り組みの一環として食事クーポンをアプリに配信する仕掛けも用意。事業創造本部 副本部長 兼 LXビジネス企画部 部長の鶴田悟史氏は、「今後はカロリーなども踏まえてレコメンドができると、よりハイパーパーソナライズに近づいていく」としており、コスパやタイパとは異なる軸で企業が導入したいと思える要素も探求していく。

執行役員 パーソナル事業本部 パートナーグロース本部長の久木浩樹氏
事業創造本部 副本部長 兼 LXビジネス企画部 部長の鶴田悟史氏

 今後も新宿などのKDDIの大型の事業所にも同様の出店を行なう予定で、社員の生産性やモチベーションの向上につなげつつ、さまざまなアイデアを試していくとしている。