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サントリー、2023年のRTD・リキュールスピリッツ事業戦略を発表

新ロゴを採用した「-196℃瞬間凍結」2商品を投入

2023年2月28日 発表

取締役常務執行役員 スピリッツカンパニー社長の森本昌紀氏(中央)、執行役員 RTD・LS事業部長の鈴木あき子氏(左)、執行役員 商品開発研究部長の村上悦郎氏(右)

 サントリーは2月28日、RTD(Ready To Drink)・リキュールスピリッツ事業戦略説明会を開催した。

 取締役常務執行役員 スピリッツカンパニー社長の森本昌紀氏は、2022年を振り返り、「業務用市場の回復と、コロナ禍でのお客さまの変化に対応でき、売上金額は前年比108%を達成できた」と述べた。

 2023年の活動方針としては、「引き続きスピリッツ市場のリーディングカンパニーとして市場の活性化、市場の牽引に努めていく。同時にものづくりの哲学や技術に立脚したポートフォリオを活用し、新たな提案を通じて価値を創造していきたい」とした上で、市場全体が前年比102%となるとみられるなか、同社としては103%を目指していくと語った。

 続いて執行役員 RTD・LS事業部長の鈴木あき子氏が具体的な事業戦略を説明した。同氏によると、2023年は「ものづくり技術」「三位一体マーケティング」「RTDの需要創造」の3つの柱で目標の達成を目指す。

 ものづくり技術については、「和素材のボタニカル蒸留酒と浸漬酒のブレンドによって仕上げる国産ジンブランドの翠や、果実を丸ごと瞬間凍結して浸漬する果実浸漬酒によって仕上げるRTDブランドの-196℃のように、2023年以降も当社独自のものづくり、つまり高品質な原料酒づくりからおいしさを提供し、需要創造に繋げていく」と説明。

 三位一体については、「角ハイボール、こだわり酒場のレモンサワーは、瓶・缶そして業務用で市場横断型の需要創造構造を実現し、ハイボール市場およびレモンサワー市場を拡大してきた」として、引き続き家庭用と業務用、瓶と缶が一体となったマーケティングを展開する。

 中でも翠については、こうしたマーケティング戦略により、売上高が120億円となり、当初2025年に設定していた目標を前倒しで達成できたという。同社では、新たな中期計画として2025年に150億円規模まで積み増しを図りたいとしている。

 3つめの柱となるRTDの需要創造については、「お客さまの規模も大きく、市場変化も大きなRTDでは手を緩めずにサントリーらしい多彩な需要創造を図る。すでに複数ある強いブランドのさらなる育成に加えて、お客さまへお酒を飲む楽しさを感じていただける新たな価値を提案する」という。

 同氏は、RTDの市場自体は、10年で2倍以上の規模に成長しており、依然として伸長傾向にあるとした上で、若年層にウケる商品やブランドを展開するなど、いかに継続して新需要を開拓していけるかが鍵になると語る。

 同氏によれば、今後のRTD市場の成長のポイントとなるのは、「若年層の飲用機会を増やすこと」「ノンアルコールの飲用シーンを広げること」「食中酒としての価値を強化すること」の3点。

 昨年発売した「BAR Pomum」のほか、「ほろよい」で若年層のニーズに応えながら、「のんある晩酌」や「のんある気分」でポジティブなノンアルコールの飲用シーンの拡大を図り、食中酒としての飲みやすさを追求した商品を投入していくことで市場の拡大を目指す。

 食中酒では、翠を使用した翠ジンソーダを体験できる場を増やしていったり、焼き鳥との組み合わせでレモンサワーの価値を提案する“トリレモ”を訴求したりする。

「こだわり酒場」ブランドでは、酒場で親しまれているプレーンサワーの「タコハイ」に着目。3月7日発売の「こだわり酒場のタコハイ」は、新開発の焙煎麦焼酎の香ばしい風味に、ほのかな柑橘のフレーバーを組み合わせたもので、同商品を通じてレモンサワー以外の魅力も伝えていく。

 そして、発表会にあわせて新商品の投入が発表されたのが「-196℃」ブランドとなる。

3月28日発売の「-196℃瞬間凍結〈無糖レモン〉」と「-196℃瞬間凍結〈ウメ〉」

 -196℃ブランドについては、海外でも販売されているが、それらの地域では「製法の独自性」や「力強い果実感」が高く評価されているという。こうした評価は国内においても同様の傾向があり、それらを前面に打ち出し、「本当に美味しい、甘くないチューハイ」をコンセプトにしたのが、3月28日発売の「-196℃瞬間凍結〈無糖レモン〉」「-196℃瞬間凍結〈ウメ〉」とされる。

 執行役員 商品開発研究部長の村上悦郎氏によれば、果実をまるごと-196℃の液体窒素で瞬間凍結させ、皮や種なども一緒にパウダー状に粉砕し、それをアルコールに浸漬して作るのが-196℃製法の基本だが、新商品では従来よりアルコール度数が低めのウォッカに浸漬することで、果物の味わいをしっかりと引き出すことに成功した。

 無糖レモンについては、通常の3~4倍の時間をかけて浸漬を行なうことで、無糖でありながらもレモンそのものの苦味やみずみずしさを感じられるようにした。一方のウメについても、同社の梅酒づくりのノウハウを活かし、最もフルーティーさを感じられるような度数で浸漬を行なうことで、複雑味を伴ったリアルな梅の味を引き出したという。

 これにあわせ、-196℃ブランドの新たなロゴデザインが採用されており、順次他の商品でも使われていく。

 発表会では、-196℃製法の特徴をレクチャーするデモンストレーションも行なわれた。デモでは、液体窒素にレモンを入れ、これを砕く様子が披露され、まさしく新商品のパッケージのような瞬間凍結のイメージが確認できた。

-196℃製法の瞬間凍結のデモ