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Mercian Winesのスパークリングワイン、日本到着時に一番おいしくなるように工夫

2023年8月21日 取材

(左から)カンティアーモ スプマンテ ブリュット、同ロゼ、サニーサイド オーガニック スパークリング 缶

 メルシャンは、8月29日に発売となるMercian Wines(メルシャン・ワインズ)ブランド初のスパークリングワイン「カンティアーモ スプマンテ」に関する報道関係者向けの体験会を開催した。

 同社では、国内製造でエントリー向けの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」、世界のワイナリーとの共創により、ワインの楽しみ方を広げることを目指す「Mercian Wines」、プレミアムな輸入ワインの「Casillero del Diablo」、“日本を世界の銘醸地に。”をスローガンにこだわりを持って作られる「シャトー・メルシャン」といった幅広いユーザーをターゲットにしたブランドを展開している。

 ブランドグループの須永和子氏によれば、Mercian Winesでは「感動のおいしさ」「“日常”をもっと楽しく」「サステナブル」の3つの価値を軸に持続可能なワインづくりを目指しているという。

ブランドグループの須永和子氏

 Mercian Winesでは、同社が掲げるこうした価値観に共感し、基準を満たした6つのワイナリーとパートナーシップを結んでおり、日本人の嗜好にあわせたワインづくりが進められている。

 須永氏は、日本におけるワイン市場の動向として、2008年以降、市場が拡大してきたが、2012年から横ばいに転じ、直近ではコロナ禍での停滞から回復基調にあることを紹介。酒類の中では4.3%とシェアが小さいが、魅力を伝えていくことで伸長するポテンシャルがあると指摘する。

 スパークリングワインの市場については、コロナ禍を経て人々の中に非日常感や友人・知人との時間を求める気持ちが高まっており、メリハリ消費の傾向が高まり、気に入ったものにお金を使うプチ贅沢の機会が増えており、こうしたニーズにぴったりとハマるのがスパークリングワインだと説明。

 今回発売される「カンティアーモ スプマンテ」は、イタリア北部のヴェネト州に拠点を置くカーサ・ヴィニコーラ・ボスコ・マレラ社(ボスコ社)とともに作られたスパークリングワインとなる。

 同社があるヴェネト州のトレヴィーゾは、フランスのシャンパン、スペインのカヴァと並び、3大スパークリングワインの1つとして知られるプロセッコ発祥の地で、クリーンでフレッシュなスタイルが特徴とされる。

 ブランドグループの小泉麻衣氏は、「熟成させることで複雑な味わいを目指すことが多い中、イタリアのスパークリングワインは、タンク内で発酵させることが一般的で、短期間の仕込みでフレッシュかつフルーティで、軽やかな味わいが楽しめる」と、その味わいの特徴を説明。イタリアがスパークリングワインの最大の輸出国となっていることを紹介した。

ブランドグループの小泉麻衣氏

 同社が調査したところでは、日本人がスパークリングワインに期待するイメージとして、「1.きめ細かな泡立ち」「2.飲みやすい味」「3.食事に合う」「4.華やかな香り」「5.フレッシュな味わい」の5つが重要なポイントになっている。

 現地に滞在し、商品開発に携わった技術部の勝野泰朗氏によると、1~3はボスコ社が得意とするところで、4と5をいかに実現するかが鍵になった。4については、香りを高める酵母をいくつか試し、狙った香りに近づけていった。5については、日本に船便で運んでいる数か月の間に丸みを帯びることを計算に入れ、あえて酸度の高い酒質の原酒を選び、日本到着時に一番おいしくなるようにしたという。

技術部の勝野泰朗氏

 ラインアップとしては、淡いレモン色で、柑橘や青リンゴのようなフレッシュな香りと心地よい苦味の中に、黄色い果実やバナナのようなほんのりと甘いニュアンスが感じられる「ブリュット」と、淡いピンク色で、チェリーやイチゴのような甘酸っぱい風味が楽しめる「ロゼ」の2種類がラインアップされている。

 スパークリングワインというと細長いフルートグラスで飲むスタイルが一般的だと考えられるが、勝野氏は「現地を訪れてイタリア人はフルートグラスを使わないことに驚いた。スプマンテは香りも繊細で、その香りを楽しみたい。だから普通の赤ワインを楽しむようなグラスを使う」として、INAOグラスでのテイスティングを推奨していた。

 ちなみに、商品名のカンティアーモはイタリア語で「一緒に歌いましょう」という意味で、ボトルのラベルにはト音記号が描かれている。小泉氏は、「“ト音記号のスパーク”として皆さんに認識されるように育てていきたい」としている。

 このほか、Mercian Winesブランドからは8月1日に缶入りの「サニーサイド オーガニック スパークリング」も発売されている。

 こちらはスペインのペニンシュラと共に商品化したオーガニックワインの「サニーサイド オーガニック」の白をベースに味のバランスを調整し、ガスを吹き込んでスパークリングにしたものとなる。

サニーサイド オーガニック スパークリング

 フルボトルを飲み切るのが難しいといった消費者の声を反映し、容器にリキャップできる280mlのボトル缶を採用することで、日常的に楽しめるように工夫されている。

 須永氏によると、こちらも日本人の味覚にあわせ、フレッシュな果実感や心地よい酸味と甘味のバランスを追求しているとのことで、レモンや青リンゴのような爽やかな香りと、パイナップルやメロンのようなトロピカルな風味、上品で華やかなマスカットのニュアンスが感じられる。