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メルシャンとコンチャ・イ・トロ、日本とチリで一緒にワインづくり
2024年3月19日 20:25
- 2024年3月19日 発表
メルシャンは、チリのヴィーニャ・コンチャ・イ・トロと提携し、それぞれのつくり手がそれぞれの拠点に集まってワインの仕込みを行なう「パシフィック・リンク・プロジェクト」を立ち上げた。
メルシャンでは、「カッシェロ・デル・ディアブロ」や「フロンテラ」といったコンチャ・イ・トロの商品を輸入販売するなど、50年にわたって取引を行なってきた。メルシャン 代表取締役社長の長林道生氏は、今回の協働の背景には、長年の取引による信頼関係に加え、自然環境に配慮しながら地域に根ざしたワインづくりを行なうことや、消費者目線でのイノベーションに挑戦するなど、両社に共通する信念があると語る。
国内のワイン市場は2023年には前年比-3％と縮小傾向にあり、同氏は「価格競争や同質化、コモディティ化によって、なかなか間口が広がらないのが業界の最大の課題」だと指摘。一方でグローバルな視点に立つと、海外からの日本文化や日本ワインへの関心は高く、日本に旅行に来る人も増えており、こうした人々に向けて高付加価値商品を販売していくことにチャンスがあるとして、国内外の富裕層へのアプローチを強化するために行なわれるのが今回のプロジェクトだと説明する。
同氏によれば、プロジェクトには「イノベーティブ」「サステナブル」「グローバル」「ラグジュアリー」の4つのコンセプトが設定されており、これらに基づいて両社のつくり手（ワインメーカー）が互いの国を行き来しながらアイデアを出し合い、年に2回のペースでコラボワインを仕込んでいく。
メルシャン マーケティング部 部長の神藤亜矢氏は、「日本とチリは地球の反対側にあり、季節が逆で、1年に2回ワインが作れる。気象条件は全く異なり、それぞれの環境にあわせてワインづくりを行なっているが、チリの人が日本に来たり、日本からチリに行ったりすると、こんなことができる、あんなことができると話が尽きない」と、互いに刺激しあうことでワインづくりにイノベーションが起こせるとする。
プロジェクトの第1弾として4月2日に発売される「シャトー・メルシャン 岩出甲州 アミシス 2023」は、昨年秋にコンチャ・イ・トロのマックス・ワインラブ氏が来日し、シャトー・メルシャンの従業員とともに作り上げた最初のワインとなる。
メルシャン 技術部 技術企画グループの勝野泰朗氏によると、日本ワインのアイデンティティともいえるぶどうの「甲州」の中でも、和柑橘の香りが特徴の「甲州きいろ香」のスタイルが世界に発信する第1弾にふさわしいと考え、ワインラブ氏を岩出（山梨）の畑に連れ出し、意見交換を行なったという。
ところが、ワインラブ氏からは「国際的な味覚からすると酸っぱすぎる」と一刀両断され、勝野氏は「日本人は酸に対する許容度が高く、よかれと思って酸を重要視したワインを作ってきた」ことに気付かされたと振り返る。
そこで、ワインラブ氏と相談しながら、複数の原酒から最適なものを選び、特徴的な柑橘の香りを活かしながらも、糖と酸のバランスを意識してブレンドしたのが今回の商品となる。生産本数は約1200本で、7000円で販売される。
ちなみに、アミシス（Amicis）は友人を意味するラテン語で、両社の絆を表現している。
また、同プロジェクトでは、メルシャンのワインを世界に発信していく活動も行なわれる。具体的には、コンチャ・イ・トロのグローバルでの販売力を活かし、メルシャンのワインを世界に届けていく。
プロジェクトのコンセプトの一つにラグジュアリーがあることから、獲得を目指す新たな飲用者層にはアジアの富裕層を設定。従来からのワイン愛好家が産地や品種、土壌、樽といった“知識”を重視するのに対し、アジアの富裕層は独自の価値観を持ち、ライフスタイルに合ったものを選ぶということで、“感性”に訴えるアプローチが求められるため、徹底的にリサーチを行なったという。
コンチャ・イ・トロでは、アジア地域において、宝石を選ぶように、その日の気分や雰囲気にあわせてワインを選ぶことを提案するブランド「JEWELS OF THE NEW WORLD」を展開しているが、そのラインアップの中に「シャトー・メルシャン 岩出甲州 アミシス」が加わり、“ジェイド（翡翠）”の呼び名でシンガポールで販売される。
なお、第2弾は、シャトー・メルシャンの勝野氏と岡村敦氏がチリに出向いて作るコンチャ・イ・トロ側の「アミシス」となる。2024年秋に発売される予定で、詳細については改めてアナウンスされる。
