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サントリー、缶チューハイ「-196」の美味しさの秘密を披露。液体窒素でカッチカチ
2024年4月24日 14:36
- 2024年4月23日 開催
サントリーは4月23日、同社が今年2024年3月にリブランドした缶チューハイシリーズ「-196(イチキューロク)」の開発拠点を紹介するとともに、そのリブランド後に大幅な出荷増を記録しているという同製品の美味しさの秘密「-196℃製法」の一端を披露した。
リブランド後の-196は売れ行き好調
-196シリーズは、サントリーのほかのハイボールやノンアルコールなどの缶飲料とともに、「RTD」(Ready To Drink:フタを開けてそのまま飲める飲料)と呼ばれる商品カテゴリーに分類される。同社によれば、このジャンルの商品は自由度の高い開発が可能で、トレンドの変化にも対応しやすく、20代の若者も含めた幅広い層にリーチできるとして近年特に力を入れている成長領域でもあるという。
ここ10年でおよそ2.1倍に成長しているとされるRTD市場において、サントリー製品のシェアは5割近く。近年は「甘くない無糖」商品の伸びが大きくなっていることもあり、その代表格である-196シリーズは2023年の出荷実績が3880万ケース(6リットル換算、無糖以外も含む)と、同社製品のなかでも群を抜く売れ行きを誇る。
市場のさらなる拡大が期待されるなか、2024年にはリブランディングを実施し、「-196℃(マイナスヒャクキュウジュウロクド)」からより親しみやすい「-196(イチキューロク)」へと呼称変更した。欧米、アジアなどへの海外展開も加速し、4月にはニューヨークにサントリーRTDカンパニーの北米拠点を設置する。
こうした戦略により、-196シリーズのうち無糖の商品については、2024年3月の出荷数がそれ以前の直近6か月平均との比較で261%へと大幅に伸張。リブランド前後の3週間の比較でも約1.2倍に無糖チューハイ市場が拡大しており、その効果が有意に表われているとする。
-196℃の液体窒素で瞬間冷凍、その理由は?
RTDのなかでも無糖商品の市場が成長している背景には、夕食時に飲用する食中酒としての需要が高まっており、食事に合うように甘すぎない手軽に飲めるものが求められている、ということがあると思われる。それに対して-196は、無糖でありながらもサントリー独自の「-196℃製法」によって「果実感」「すっきりさ」「満足感」を実現したことで高い人気を集めているようだ。
この「-196℃製法」は、沸点-196℃の極低温の液体である液体窒素に果実を丸ごと投入して瞬間冷凍し、それを粉砕してパウダー状にしたものを、ウオッカや副原料などに浸けて美味しさを引き出す技術だ。
パイナップルの葉のような非可食部分は取り除くことがあるものの、基本的には果実を丸ごと冷凍することによって果物がもつ本来の香りや味わい閉じ込めることができ、粉砕時にそれを100%引き出せるようになる。冷凍前にカットなどをしてしまうと加工の過程で香り成分が逃げてしまったり、菌が付着したりといった原因になりかねないが、丸ごと扱うことでそのようなリスクも回避できるとしている。
このような商品開発や研究開発を担っている主要拠点は国内に2か所あり、そのうちの1つが今回公開された神奈川県川崎市にある「商品開発センター」だ。RTDや清涼飲料水などの製品開発が行なわれており、1階のラボと2階の執務室という2層のみ、かつ柱や壁の少ない見通しのよい内部構造とすることで、スタッフ間の活発なコミュニケーションやコラボレーションを生みやすくしているという。
商品の試作や既存商品のブラッシュアップのため、この施設にも同社のビール工場やウイスキー工場と同じく、研究開発スタッフが試飲を繰り返す「官能評価室」が設けられている。1日に多いときには数十パターンの組み合わせを試し、「消費者視点」で味わいの方向性を決めていく作業が日夜行なわれている。
原酒となるウオッカにレモン果汁を加えただけのものと、そこに-196℃製法などを反映させた実際の製品とを飲み比べてみた。前者が「単なるレモン味のお酒」で物足りなさがあったのに対し、後者はより複雑な美味しさが一気に押し寄せ、それが少しずつ変化しながら余韻として長く続くことが分かる。食事とあわせて飲みたくなる味わいだ。