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マクドナルド、美味しいバーガー作りに欠かせない「ビーフパティ」「バンズ」のこだわり
2024年9月12日 09:00
- 2024年9月11日 取材
マクドナルドは年間約13億個のバーガーを販売しており、美味しいバーガー作りに欠かせないのが「ビーフパティ」と「バンズ」。
編集部ではビーフパティをマクドナルドへ供給しているスターゼンと、バンズを供給しているフジパンにこだわりを聞いてきた。
マクドナルド日本上陸時からビーフパティを提供するスターゼン
食肉および食肉加工食品を取り扱うスターゼンは、1971年に日本マクドナルド1号店が銀座三越に出店したときから約52年間、ビーフパティを提供し続けている。スターゼンの渡邉氏は当時ハンバーガーカルチャーがないなか、アメリカなど海外のサプライヤーが来日し、作り方や機械の種類の選定などを一緒に進めていったという。
ビーフパティの原料であるビーフは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダから調達し、ビーフ100%にこだわり、承認を受けた工場から輸入している。
渡邉氏はここ10年間で見たことないくらい、ビーフだけでなくエネルギー価格も人件費も高くなっており、さまざまな情勢の変化に応じて安定した原料調達を実現していると説明。
スターゼンの甲能万結氏は製造工程のこだわりについて、赤身率の調整と解凍工程を紹介。原料として工場へ入ってきたときは赤身率が異なるため、調整していくことで、マクドナルド店舗での焼成時間を一定にできる。
解凍工程では通常のマイクロ波と比べて原料の中心部までムラなく解凍できる高周波で解凍することで、肉の旨味成分を含むドリップの流出が抑えられ、旨みを保ったまま解凍できるという。
さらにパティサイズにもこだわっており、創業以来使用されており、ほかの材料とのバランスのよい定番の「10分の1ポンドの10:1(テン・ワン)パティ」と、2017年に登場し肉感やジューシーさがあり、食べ応えのあるサムライマックに使っている「6:1(シックス・ワン)パティ」の異なる厚みのパティを展開し、商品や日本人に合わせたサイズ感で提供している。
また、グローバル共通の評価方法を設け「見た目」「食感」「風味」の3つの基準で官能検査を行なうことで、世界中どこで食べても変わらない美味しさを実現。
焼肉を見たら分かるが、肉に火を入れると縮んでしまい、つなぎを入れたハンバーグは縮みが少ない。ビーフ100%でバーガーに使用するまん丸のパティにするのは難しく、凸凹や割れ、色合いを見た目で評価。ジューシーさや水分量などビーフの自然な風味や香りを検査している。
記者も実際に官能検査で使われる、塩胡椒などの味付けなしのビーフパティを試食。改めて見ると、肉の塊から均一な色合いとサイズに加工するのは容易でないことが想像できる。さまざまな苦労を経て、世界中、いつでも、どこでも、同じ味を実現しているわけだ。
マクドナルドのバーガーのバンズはフジパンが供給
マクドナルドのバーガーのバンズはフジパンが供給しており、グローバル、日本限定、期間限定商品の大きく3つに分けられるとフジパンの廣田佳織氏が説明。
グローバルコアバンズ: 「ダブルチーズバーガー(レギュラーバンズ)」「ビッグマック(ビッグマックバンズ)」「ソーセージエッグマフィン(イングリッシュマフィン)」
ローカルコアバンズ: 「サムライマック(Sてりポピーシードバンズ)」「てりやきマックバーガー(セサミバンズ)」
プロモーションバンズ: 「ロコモコバーガー(粉チーズバンズ)」「チキンタツタ(タツタバンズ)」「グランドビッグマック(グランドビッグマックバンズ)」
バンズ(パン)の主要原材料は、小麦粉、水、イースト、塩。なかでも小麦粉はパン作りに使いタンパク質を多く含むグルテンが多い「強力粉」、クッキーやケーキ作りに使う「薄力粉」、うどんなどの麺に使う「中力粉」に分かれる。
通常、パン作りでは小麦粉(強力粉)に水を加えて捏ねあげ、グルテンを形成し、成型・発酵・焼成するが、バンズ作りではグルテンを形成したあと、グルテンを切る「麩切り(ふぎり)」を経て、成型・発酵・焼成する。
これにより、歯切れのよい食感となり、バーガー全体を美味しく食べるために重要だとフジパンの野寺武志氏は語る。
記者は今回特別に、麩切りをしていないバンズと通常のバンズを食べ比べた。麩切りをしていないバンズの方が単体で食べたときのふんわりもっちり感が美味しく感じるが、バーガー全体での美味しさとなると、麩切りをしたバンズの方が歯切れがよく、ほかの具材とのバランスが取れると感じた。
見た目について通常のバンズの表面は均一で、麩切りをしなかったバンズは少しボコボコしている。
野寺氏は同じ商品をまったく同じように作るのは難しく、マクドナルドが定めた規格内に収めていると説明。製造工程のなかでさまざまな要因から、トーストが均一にならないと、ソースが焼けていないところに染みてバンズがベチャっとしてしまうことがあるという。
世界中、いつでも、どこでも、同じ味を実現するために、マクドナルド、サプライヤー、店舗などフランチャイジーが一丸となってさまざまな取り組みをしていることを頭の片隅に置いて食べるバーガーは、いっそう美味しく食べられるのでは。